G-gen の杉村です。Google スプレッドシートで、セルに関数を入力するだけで生成 AI が利用できる AI 関数について解説します。

はじめに
AI 関数とは
Google スプレッドシートの AI 関数とは、セルに関数を入力するだけで生成 AI が利用できる機能です。AI 関数のバックエンドには、Google の生成 AI モデルである Gemini が使用されています。
AI 関数は、テキストの生成、要約、分類、感情分析などに利用できます。日本語、英語をはじめ、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語などに対応しています。

利用可能エディション
AI 関数は、Google Workspace の以下のエディションで利用できます。
- Business Standard / Plus
- Enterprise Standard / Plus
- Google AI Ultra for Education
エディションごとに利用可能な Gemini 機能は、以下の公式ドキュメントにまとまっていますので参考にしてください。
なお当機能の日本語対応が発表されたのは2025年9月23日であり、「即時リリース」設定のドメインには2025年9月23日から15日間かけて順次ロールアウト、「計画的リリース」のドメインには2025年10月6日から15日間かけて順次ロールアウトされます。当記事の公開時点では、お使いのドメインではまだ利用可能になっていない可能性があります。
留意点
大前提として、AI 関数は生成 AI モデルを使用しています。生成される内容は誤りを含んでいる場合があるため、一般的な生成 AI サービスと同様、留意が必要です。
なお、有償版 Google Workspace の各エディションの AI 関連機能では、入力したデータが Google のモデルの再トレーニング等に許可なく利用されることはありません。
- 参考 : Google Workspace with Gemini に関するよくある質問 - Google Workspace 管理者ヘルプ
- 参考 : Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ - Google Workspace 管理者ヘルプ
仕様
AI 関数は、以下の文法で使用します。
=AI("プロンプト", [参照セルまたは範囲])
「プロンプト」には AI への指示を自然言語で記述します。「参照セルまたは範囲」には、AI が生成を行う時に参照するセルまたはセルの範囲を記述します。「参照セルまたは範囲」はオプションであり、必須ではありません。
なお AI 関数は、Google 検索を使ってグラウンディングを行い、インターネットから最新情報を取得したうえで生成を行います。
使用例1 : 要約
例として、AI 関数は以下のように使用します。
=AI("セルの内容を50文字以内で要約して", B2)
このようにすることで、B2 セルの文字列が要約されます。


この関数をコピーして複数行に貼り付けることで、複数行に対する処理が可能です。貼り付けてすぐはセルが紫色にハイライトされて結果が表示されませんが、しばらく待つと生成結果が表示されます。表示されない場合は、「更新して挿入」を押下します。

使用例2 : 感情分析
以下は、サービスに対するユーザーの感想を、「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」に分類させる例です。
=AI("ユーザーの感想を「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」のいずれかに分類して", B2)

使用例3 : 翻訳
AI 関数では、別の言語に文章を翻訳させることもできます。
=AI("この文章を日本語から対象言語に翻訳して", B2:C2)
ここでは、参照先セル範囲として、感想文と翻訳先の言語が書かれたセルを指定しています。

使用例4 : 文章の生成
当記事でサンプルとして掲載している「ユーザーの声」も、AI 関数で生成したものです。
=AI("架空のWebサービスの使用感に関するユーザーの声を生成して。トーンは次のセルの通りで。",B2)

制限
2025年10月現在、AI 関数には以下のような制限があります(代表的なもののみ抜粋)。
- AI の回答はテキストのみ(画像や動画の出力はできない)
- 他のシートにはアクセスできない
- AI 関数は他の関数にネストできない(例 :
=IF(AI(“sentiment analysis”, A2)),”negative”,0)) - 利用回数制限がある。明確な数値は公開されていないが、短期制限と長期制限がある。利用制限に抵触した場合、最大24時間待つ必要がある
- 複数セルで生成を行う場合、一度に生成できるのは最初の200個のセルまで。生成が終わるまで待機してからそれ以降のセルで生成を行う
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO
元警察官という経歴を持つ IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 認定資格および Google Cloud 認定資格はすべて取得。X(旧 Twitter)では Google Cloud や Google Workspace のアップデート情報をつぶやいています。
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