Google Workspace Studioを徹底解説!

記事タイトルとURLをコピーする

Google Workspace Studio は、Google Workspace アプリ同士を連携させ、タスクを自動化する AI ツールです。Gemini モデルが動作する AI エージェント(フロー)をノーコードで構築して、さまざまな仕事を自動化することができます。

概要

Google Workspace Studio とは

Google Workspace Studio は、Google Workspace アプリ同士を連携させて、タスクを自動化することができる AI エージェントツールです。人による何らかのアクションやメールの受信などをトリガーとして、通知、要約、集計などのタスクの自動化できます。

Google Workspace Studio では自動化処理フローを Web UI 上で簡単に作成することができ、個々の自動化フローはフロー(flows)と呼ばれます。

Google Workspace Studio は Google の生成 AI モデル Gemini と統合されており、フロー内で文章の要約や分類、Web の調査などをさせることができます。

これらの機能により、これまで人間が行っていた定常的な仕事を AI エージェント(フロー)に行わせることで、業務を効率化することができます。

管理コンソールトップ画面

フロー編集画面

ユースケース

Google Workspace Studio では、以下のようなことを実現できます。

  • Gmail に特定の人から E メールが届いた場合に、要約して Google スプレッドシートに追記する
  • Google Meet の会議の前に、アジェンダを要約して参加者に E メールを送信する
  • Google フォームに回答が送信されたら、自動返信を送り、チームに Google チャットで通知する
  • Google ドライブ上の Google ドキュメントが編集されたら、その内容を要約して Google スプレッドシートに追記する
  • 毎朝、AI 関連のニュースを Web から取得して要約し、E メールで自分に配信する

処理のトリガーとしては、E メールの受信や Google Chat でのメッセージ受信、Google フォームの内容送信、Google ドライブ上のファイルの編集など人のアクションを起点にできるほか、特定の時刻や曜日など、定期的なスケジュール実行を設定することもできます。

サービス公開の経緯

当サービスは2025年11月に「Google Workspace Flows」という名称で Gemini Alpha プログラムの試用版アプリとして公開されました。その後、2025年12月4日(日本時間)に Google Workspace Studio と名称を変えて一般公開されました。

また2025年12月現在、対応言語は英語のみです。2025年12月現在の当社の検証では、日本語のプロンプトを入力することで、出力を日本語にすることができました。しかしながらドキュメント上では、AI への指示を英語で記載することが求められており、他の言語は未サポートであることに注意して下さい。

なお Google Workspace Studio は、ドメインで即時リリース(Rapid Release)を選択している場合、米国太平洋標準時の2025年12月3日から順次ロールアウト(展開)されます。一方で計画的リリース(Scheduled Release)を選択している場合、管理コンソール上の設定は2025年12月3日から段階的にロールアウトされますが、エンドユーザーによるアクセスは2026年1月5日からとされています。

利用の前提条件

Google Workspace Studio は、以下の Google Workspace エディションで利用可能です。

  • Google Workspace Business Starter、Standard、Plus
  • Google Workspace Enterprise Standard、Plus
  • Google Workspace Education Fundamentals、Standard、Plus、Teaching and Learning add-on

また、以下の個人向け有償サブスクリプションでも利用可能です。

  • Google AI Pro for Education
  • Google AI Ultra for Business

その他の条件等は以下の公式ドキュメントを参照してください。

利用方法

コンソールへのアクセス

Google Workspace Studio の管理コンソールへアクセスするには、Google アカウントにログインした状態で、以下の URL にアクセスします。

https://studio.workspace.google.com/

管理コンソールトップ画面

自然言語によるフロー作成

フローを作成する際は、手動で処理内容を指定して作成することもできますし、自然言語で AI に指示をすることで自動作成することもできます。

行いたい処理を、トップページのテキストボックスに自然言語で入力することで、フローが10秒ほどで出来上がりました。

自然言語でのフロー作成

自動生成されたフロー

フローの処理内容を確認し、必要に応じて微修正したら、Turn on ボタンを押下することでフローが保存され、有効化されます。Test run を押下することで、即時実行することもできます。

実際に実行してみたところ、以下のような要約結果が、Google Chat の DM で自分宛てに届きました。

フローの実行結果

手動でのフロー作成

トップ画面左側の青いプラス(+)ボタンを押下することで、ゼロから手動でフローを作成することも可能です。この画面では、処理の起点となる starter や、処理の内容である steps を手動で追加できます。startersteps にどのような種類があるかは、後述します。

処理内容は順次実行で追加できるほか、前の steps の実行内容やファイル、E メールの内容に応じて分岐させたり、Gemini に分岐を判断させることもできます。

手動でのフロー作成

Google のフローテンプレートからのカスタマイズ

Google は、フローのテンプレートを多数用意しており、テンプレートの中から実現したい内容に近いものを選択して、そこから作成を始めることもできます。トップ画面(Discover 画面)を下にスクロールすると、テンプレートの一覧がカード表示されています。カードをクリックすると、フローが新規作成され、アレンジしたうえで保存できます。

Google が用意したテンプレート(一部)

テンプレートをアレンジして保存可能

作成したフローの管理

画面左部メニューの My flows をクリックすると、保存済のフローの一覧が表示されます。ここで、作成済みのフローを無効化 / 有効化したり、編集、削除したりすることができます。既存フローをコピーして、新しいフローを作成することもできます。

My flows(フローの一覧)

同画面の Activity タブをクリックすると、過去のフロー実行履歴を閲覧できます。

Activity(フロー実行履歴)

コンセプト

フロー

Google Workspace Studio で作成する自動化処理は、フローと呼ばれます(GA 直後は「エージェント」と呼ばれていた時期もありました)。

フローには、処理のトリガーとなる starter と、処理の本体となる actionssteps を指定します。

starter

starter は、フローの処理のトリガー(きっかけ)です。以下のような starter を指定できます。

名称 説明
スケジュール 単発、15分ごと、30分ごと、毎時、日次、毎平日、週次、隔週、月次、年次
Gmail E メールを受信したとき。全メール、特定の人から、特定の文言を含む場合など
Google Chat スペースにコメントが投稿されたとき、自分がメンションされたとき、emoji リアクションがついたときなど
Google スプレッドシート シートが変更されたとき
Google ドライブ ファイルが編集されたとき、フォルダにファイルが追加されたときなど
Google カレンダー 会議後、会議前など
Google フォーム フォームが送信されたとき、編集されたとき

Starter に指定した条件に合致すると、フローがスタートし、Actions が実行されます。

actions と steps

actions はフローが実際に行う一連の処理です。actions には複数の steps を追加することができます。steps には、以下のような処理を指定できます。以下は一部のみの抜粋です。

名称 説明
Ask Gemini Gemini にプロンプトを送信し、レスポンスを得る
Ask a Gem Gem にプロンプトを送信し、レスポンスを得る
Recap unread emails 未読 E メールを取得して Gemini に処理させる
Extract Gemini にコンテンツを分析させ、アクションアイテム、質問、URL、感情などの要素を抽出する
Decide Gemini に判断させ、処理を分岐させる。Check if とセットで使用する
Check if 前の step の属性が True か False かによって処理を分岐させる
Send a webhook 外部に HTTP リクエストを送信する。GET、POST、PUT、DELETE、PATCH メソッドが使用可能
Gmail メール送信、転送、ラベル付与、既読にする、スターをつけるなど
Google Chat コメント投稿、自分に通知するなど
Google スプレッドシート 行の追加、編集、削除、シート内容取得など
Google ドライブ フォルダ作成、メールの添付ファイルをドライブに保存など
Google カレンダー 会議予定の作成、ゲストの招待など
Google ドキュメント ドキュメント作成、追記など

サードパーティとの連携

Google Workspace アプリとの連携に加えて、以下のようなサードパーティアプリとの連携も可能です。以下は、一般公開(GA)直後に利用可能だった連携機能の一部抜粋です。ただし2025年12月25日現在では表示されなくなっており、今後も変更の可能性があります。

名称 説明
Asana プロジェクト作成、タスク作成など
Confluence ページ作成など
Jira Issue 作成、Issue へのコメント追加など
Salesforce 商談作成、リード作成、タスク作成など

また、Google Workspace Marketplace から、追加の統合機能をインストールすることもできます。

変数

steps 間では変数(variables)を使うことで、情報を受け渡すことができます。

以下の例では、Step 4: Extract でメールから抽出した質問内容を、次の Step 5: Ask Gemni に与えるプロンプト内で参照しています。このようにして、steps 間で情報を受け渡すことができます。

プロンプト内で変数を使い前の処理の情報を参照する

トラブルシューティング

We are at capacity, we'll be back soon

We are at capacity, we'll be back soon

これは Google 側で生成 AI モデル等のリソースが枯渇していることを示します。

ユーザー側でできる対処はなく、需要が減ることを待つか、Google がリソースを増強するのを待つしかありません。2025年12月現在、リリース直後の Google Workspace Studio が大きな注目を集めていることもあり、このエラーがたびたび発生します。

exceeded Gemini limits

The prompt, including content referenced with variables and links, exceeded Gemini limits. Consider editing your prompt, such as using fewer variables.

Ask Gemini などの action で LLM に要約等を行わせる際に与えるプロンプトは、リンクされたコンテンツと変数で追加されたコンテンツを含めて、144,000文字(約18,000語)未満である必要があります。メールを要約させるときなどに文字数が超過している場合は、このエラーが出力されます。

FAQ

Google Workspace Studio でよくあるトラブルやエラーについては、以下のドキュメントに対処法や FAQ が記載されています。

Tips

アドオンによる拡張

Google Workspace Studio では、Google Apps Script(GAS)でアドオン(拡張プログラム)を開発することによって、フローに独自の処理を実装することができます。Google Apps Script はスクリプト言語による軽量なアプリケーション開発プラットフォームです。開発言語は JavaScript がベースとなっています。

GAS のプログラムを特定の方法で記述して Google Workspace Studio 用のアドオンとしてデプロイすることで、steps として GAS プログラムを実行できます。フロー内での GAS プログラム実行にあたり、入力と出力を定義することができ、steps 間で値を受け渡すことができます。

自然言語によるフロー作成

前述のとおり、フローを作成する際は、starter や steps を手動で指定して作成することもできますし、自然言語で AI に指示をすることで自動作成することもできます。

AI に指示を与える際は、適切にフローを構築できるように、以下のような点に注意します。

  • いつ処理を行うかを明確にする(時刻や曜日、きっかけ)
  • 使用するアプリ(Gmail、Google スプレッドシートなど)を明示する
  • サポートされていないコンテンツを避ける(英語以外の言語、カレンダー予定のリンク、@メンションなどは未対応)

詳細は以下のドキュメントを参考にしてください。

steps の中での AI への指示

steps の中で Gemini(AI)への指示を記述するときは、以下のような点に注意すると、精度が向上します。

  • 背景を明記する。特に、処理対象のメールやファイルは変数で明示的に指示する
  • 複数の AI ステップを活用する。Ask Gemini の結果を Extract に渡して、その結果をまた Ask Gemini に渡すなどしてタスクを小分けし、精度向上を図る
  • Ask Gemini では Gmail、Google Chat、Google ドライブ、Google カレンダー、Web 検索などをコンテキストとして利用できる

詳細は以下のドキュメントを参考にして下さい。

杉村 勇馬 (記事一覧)

執行役員 CTO

元警察官という経歴を持つ IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 認定資格および Google Cloud 認定資格はすべて取得。X(旧 Twitter)では Google Cloud や Google Workspace のアップデート情報をつぶやいています。