G-gen の西田です。ノーコードで Google Workspace のタスクを自動化できる Google Workspace Studio に導入された、リストデータを繰り返し処理できるループ処理機能について解説します。

はじめに
Google Workspace Studio とは
Google Workspace Studio とは、プログラミングを行うことなく、Google Workspace の各アプリケーションや Gemini を組み合わせた自動化フローを作成できる AI エージェントツールです。
ユーザーは「ステップ」と呼ばれる個々のタスクを順に配置することで、複雑な業務プロセスを自動化できます。例えば、「メールを受信したら Gemini で内容を要約し、Google Chat に投稿する」といったフローを直感的に構築可能です。
Google Workspace Studio の詳細やコンセプトについては、以下の記事を参照してください。
ループ処理機能の概要
Google Workspace Studio のフローにおいて、2026年6月にリストをループ処理する機能 が導入されました。これにより、リスト形式のデータに対して同じ処理を繰り返し実行できるようになりました。これまでは1つのデータに対して1つの処理を行うフローが中心でしたが、今回のアップデートにより、リストデータを一括で処理する高度な自動化が容易になります。導入された機能は主に以下の2つです。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| Ask Gemini のリスト出力 | 「Ask Gemini」ステップの「Response format」設定にリスト形式が追加されました。Gemini に相談した結果を構造化されたリストとして後続のステップに渡すことができます。 |
| Repeat for each | Gemini に相談した結果のリストの各項目や Google スプレッドシートの各行に対して、指定した一連の処理(サブステップ)を繰り返し実行するステップです。 |
- 参考 : Introducing the ability to loop over a list of items in Workspace Studio - Google Workspace Updates
検証シナリオ
ループ機能の具体的な活用例として、社内パソコンの管理台帳(Google スプレッドシート)を参照し、OS のサポートが切れている端末の利用者へ案内メールの下書きを作成するフローを構築します。
検証用の管理台帳には、端末管理ソフト等で取得できるデータの一部である、「端末 ID」「マシンベンダー」「OS」「最終起動日」「ログイン ID」「メールアドレス」の項目を持つリストを使用します。

フローでは以下の処理を自動化します。
- Gemini で案内メールのテンプレートを作成
- 管理台帳からデータを取得
- 各行の OS 情報をチェックし、サポート切れの場合はメールの下書きを作成
- 管理台帳の「ステータス」列を
Doneに更新
設定手順
Google Workspace Studio で以下のステップを持つフローを作成します。
ステップ1: トリガー設定
フローが実行されるトリガーを設定します。今回は特定の日時に開始するように設定します。

ステップ2: メール文面作成
サポート切れのパソコンの利用者に向けた案内メールの文面を作成します。検証では「Gemini に相談」を利用して文章を作成します。
なお本来、ここで指定するメールの文面は定型文で問題ありませんが、当記事では Gemini による生成機能の説明を目的として「Gemini に相談」を使用しました。

ステップ3: リストデータ取得
「シートのコンテンツを取得」アクションを選択し、対象のスプレッドシートのシートからリストデータを取得します。すべての行を取得するため「値を取得する行を検索」では、「すべて」を指定します。

ステップ4: ループ処理開始
ループ処理を設定します。日本語の画面では、「それぞれについて繰り返す」というツールを選択します。

「リストを選択します」の変数ボタンから、ステップ3で取得したシートのコンテンツを選択し、「詳細リスト - 一致する値」を指定します。

ステップ5: 処理対象か確認
ループ内のサブステップとして、「OS がサポート切れであるか」を判定するロジックを記述するため、AI アクションの「決定」を追加します。
処理行の「OS」の値を取得するため、プロンプト入力欄の変数ボタンから、ステップ4のループ処理を選択し、その中から「一致する値 "OS" の各アイテム」を指定します。 ここでは、「処理行の OS がサポート切れである」という条件から真偽値を判定させます。



ステップ6: 条件分岐
条件分岐のステップでは、ステップ5の結果が "真" である場合、後続のステップに進ませるようにします。

ステップ7: 下書き作成
条件に一致した行の "メールアドレス" 宛のメールの下書きを作成します。宛先のメールアドレスは、ステップ4のループ処理の中から「一致する値 "メールアドレス" の各アイテム」を指定します。メッセージ(本文)は、ステップ2で作成した文面を指定します。

ステップ8: 台帳更新
下書きを作成した行については、作成済みの記録を入力する処理を設定するため「行を更新」というステップを選択します。更新対象のスプレッドシート、シート、対象の行および入力する値をそれぞれ指定します。



動作確認
フローをテスト実行すると、管理台帳の各行が順番に処理されます。
管理台帳を確認すると、Windows 11 の行以外については、サポート切れ OS と判定され、G 列に下書きが作成された記録が入力されています。

また、作成された下書きメールは以下の通りです。今回の管理台帳では対象となる行が45行ありましたので、同様の下書きメールも45件作成されました。

なお、ループ処理できる行の数は画面の注意書きに記載の通り、100件までです。

101件目以降のデータを処理する場合は、スプレッドシートのシートからのリストデータ取得時に条件を加えるなどして調整します。上記の手順では、ステップ3の「シートのコンテンツを取得」のステップに、「下書き作成」が空白であるといった抽出条件を加えます。

西田 匡志(記事一覧)
クラウドソリューション部
美容商社→物流→情シスを経て、2025年6月G-genにジョイン。Google Cloud を通じて多くの人に貢献できるよう日々精進!
