G-gen の杉村です。Google Cloud における負荷テスト(負荷試験)について、参考情報をご紹介します。当記事では、負荷テストの手順や試験設計に関する Tips 等ではなく、Google Cloud において負荷テストをする場合の考慮点や関連ドキュメントをご紹介します。
負荷テストは申請不要
Google Cloud における負荷テストでは、Google に対する事前申請は不要です。
ただし、Apigee においては事前にサポートチケットを提出することが求められています。
かつて Amazon Web Services(AWS)で、負荷テスト前に AWS に対する事前申請が必要だったことを覚えている方は、Google Cloud でも同様に申請が必要かどうか心配されるケースがありますが、Apigee を除いてその必要はありません。
なお、2024年現在では AWS でも、特定条件に当てはまる場合を除いて、申請は必要ありません。
割り当てと上限
負荷テスト前の確認
負荷テストの実施前に、Google Cloud のプロジェクトの割り当てと上限を確認し、これらの値に抵触するおそれがないか確認することが推奨されます。また、必要に応じて割り当ての緩和申請を行います。
割り当て(Quota)とは
割り当て(Quota)とは、Google Cloud の API やリソースに設定された上限値のことです。割り当てはプロジェクトごとに設定されており、種類によっては値の緩和を Google に申請することができます。
割り当てには例として「Compute Engine の CPU コア数(リージョンごと / マシンタイプごと)」「Cloud Run のコンテナインスタンス数(リージョンごと)」などがあります。
新しいプロジェクトにおける割り当ての初期値は、請求先アカウントの利用履歴から動的に設定されたり、リージョンによって異なる場合などがあります。
割り当ての増量リクエストは、Google Cloud コンソール画面から行うことができます。
- 参考 : 割り当ての表示と管理
上限(Limit)とは
上限(Limit もしくは System limit)とは、割り当てと同じく Google Cloud の API やリソースに設定された上限値ですが、システム上の制約であり、原則的に変更が不可能なものです。
上限も、割り当てと同様に、原則的に Google Cloud プロジェクトごとに存在します。また、種類によってはリージョンごとに値が異なるものがあります。
上限には例として「Cloud Run のサービス数(リージョンごと)」などがあります。
割り当てと上限に関するドキュメント
各 Google Cloud サービスの公式ドキュメントには、割り当てと上限の説明ページがあります。以下に、代表的なサービスの割り当てと上限に関するドキュメントのリンクを例示します。
プロダクト | ドキュメント名とリンク |
---|---|
Cloud Run | Cloud Run Quotas and Limits |
Google Kubernetes Engine(GKE) | Quotas and limits |
Compute Engine | Compute Engine quota and limits overview |
Cloud Load Balancing | Quotas and limits |
Cloud Storage | Quotas & limits |
BigQuery | Quotas and limits |
Google との連携
非常に大規模な緩和申請を行う場合などには、Google Cloud カスタマーケアにサポートケースを起票(ただし有償契約がある場合に限る)したり、緩和申請をしたうえで必要に応じて Google Cloud や Google Cloud パートナー(代理店)のセールス担当者に連絡を取りましょう。
- 参考 : Google Cloud カスタマーケア
公式ドキュメントの確認
各サービスの公式ドキュメントには、負荷テストにあたってのベストプラクティスが記載されている場合があります。これらのドキュメントも確認しましょう。
プロダクト | ドキュメント名とリンク |
---|---|
Cloud Run | 負荷テストのベスト プラクティス |
Google Kubernetes Engine(GKE) | Google Kubernetes Engine を使用した負荷分散テスト |
Cloud Load Balancing | アプリケーション ロードバランサを使用したバックエンド サービスの負荷テストに関するガイドライン |
ペネトレーションテスト(脆弱性診断)
類似の話題として、ペネトレーションテストや脆弱性診断を行う際に、Google Cloud に申請をする必要があるかどうか、気にする方もいるかもしれません。
ペネトレーションテストや脆弱性診断も、負荷試験と同様に、Google に対する事前申請は不要です。
ただし、以下のドキュメントにあるように、影響範囲が他の Google Cloud 利用者に及ばないようにする必要があります。万一、Google 製品の脆弱性を発見した場合は、脆弱性報奨金プログラムから報告しましょう。
参考情報ですが、負荷試験と同様、かつての AWS ではペネトレーションテストにあたり事前申請が必要でしたが、2024年現在では不要になっています。
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長
元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。
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