NotebookLM vs Gemini アプリ:業務で使い分けるための実践知識まとめ

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G-gen の川村です。この記事では Google 提供の AI 支援ツールである NotebookLM について、特徴や Gemini アプリとの違いに触れながら、業務における具体的な活用方法を紹介します。

前提知識

NotebookLM とは

NotebookLM とは、Google ドキュメント、PDF、音声、YouTube 動画などをソースとして指定し、その情報を基に要約・FAQ・メモを生成できる Google 提供の AI サービスです。

一般的な生成 AI と異なり、回答の出典をユーザーが明示的に制御できるため、業務利用において高い信頼性が確保されます。

NotebookLM や NotebookLM in Pro(旧称 NotebookLM Plus)の基本機能については以下ブログをご参考ください。

blog.g-gen.co.jp

Gemini アプリとは

Gemini アプリとは、Web ブラウザやモバイルアプリでアクセスできる対話型 AI サービスです。自由な形式での質問応答、文章生成、アイデア出しなどに利用できます。

また、PC 等の Web ブラウザでアクセスする Gemini アプリを Gemini ウェブアプリ、スマートホンなどのモバイル向けの Gemini アプリを Gemini モバイルアプリと呼びます。

Gemini アプリとの違い

NotebookLM と Gemini アプリは、どちらも Google の生成 AI ソリューションですが、特徴・用途が異なります。以下の比較表にその違いをまとめます。

比較項目 NotebookLM Gemini アプリ
参照範囲 指定した資料を「ソース」として固定し、その範囲内で回答 インターネット上知識や最新情報を広範に参照
出典の明示 指定資料に基づき、出典を明示可能 ソースに基づく回答に加え、学習知識からの推論が可能
出力の特性 限定された情報に基づく高精度な出力 創造性と網羅性を両立した出力
得意なシーン 議事録要約、社内 FAQ、資料整理などの再構成 アイデア創出や自由形式の企画支援
モデルの選択 なし Gemini 2.5 Pro、Gemini 2.5 Flash などから選択可能。Deep Research も実行可能

NotebookLM は「手元資料の正確な再利用」に、Gemini アプリは「自由な発想と表現」に、それぞれ最適なツールです。

目的とシーンに応じて、両者を併用することで業務全体の生産性が大きく向上します。

NotebookLM の主要活用パターン

NotebookLM は、業務に埋もれていた「データ」を「知識」に変換し、組織の生産性を一段引き上げるツールです。主な活用パターンは以下のとおりです。

1. ドキュメント・ナレッジ統合管理

散在していた資料や議事録などをノートブック単位で統合管理し、社内用チャット Bot を即座に構築、共有できます。

2. 資料要約・差分分析

複数資料から共通点や差異を抽出し、迅速で正確な意思決定を支援します。

3. 音声・動画から要点自動抽出

会議録音や動画をテキスト化・要約することで、非構造データも業務資産として活用可能となります。

4. FAQ・クイズ自動生成

社内規定やガイドラインから FAQ や確認用クイズを自動生成し、教育・オンボーディングを加速します。

ここからは、各ユースケースの具体例を紹介します。

実務で活きる NotebookLM ユースケース

1. ナレッジの構造化と共有

例 : 営業部での提案書作成

特定分野の資料なデータをソースとして設定し、部署やチーム毎のチャット Bot を作成し、業務の属人化を防ぐことできます。 以下手順でソースの設定から行います。

  • [ソースを追加] から対象資料の形式(Google ドキュメント、PDF 等)に合わせてアップロード

※ 当記事のソースは架空のサンプルデータを使用
※ Google スプレッドシートは直接指定できないため、CSV 形式でダウンロード後に txt ファイルに変換して [ファイルを添付] より追加(2025年5月現在)

ソースの追加が完了したら営業部で必要な提案書の叩き台を作成するため、以下のようなプロンプトを送信します。

プロンプト例 :

顧客「石井 亮」様のニーズに合致する物件を「物件リスト」から2つほどピックアップしてください。 また、「【サンプル】営業提案書」を参考にそれぞれの提案書を3ページほどにまとめてください。

このように、顧客ニーズに合った物件の抽出と、テンプレートを参考に提案書が生成されます。

生成された提案書はメモとして保存をしたり、画面下のコピーアイコンからドキュメントに貼り付けも可能です。
右上の「共有」から、グループを追加して部門やチーム間でノートブック自体の展開もできます。

2. 資料の要約・比較による意思決定支援

例 : 競合企業の決算書を比較し、強みと戦略を分析

複数社の決算資料をソースとして PDF ファイルで追加し、以下のようなプロンプトで要約と比較が可能です。

プロンプト例 :

3社の決算書について簡潔に要約してください。 また、それぞれの決算書を元に、各社の強みと企業戦略について比較してください。

計 100 ページ以上の PDFを瞬時に要約・比較が行われ、意思決定に必要なポイントが抽出されます。
アウトプット横の番号をクリックすると、該当ソースへのハイライト確認も可能なため調査時間が短縮します。

3. 音声・動画データの情報抽出

例① : Youtube 動画を読み込み、機能比較や消費者レビューをレポート化

Google Cloud Next '25 のキーノートなどの YouTube 動画をソースとして追加します。

Youtube 追加後、2 時間弱にもわたるの長編動画が即座にテキスト化、要約されます。

以下のようなプロンプトで、一覧表などの構造化データでの回答も可能です。

プロンプト例 :

紹介されたサービスと機能の一覧を表でまとめてください。

また、NotebookLMは 多言語対応のため、ソースが英語動画でも日本語出力されます。 このように従来ブラックボックス化していた非構造データも、検索・活用できるソースとして変換できます。

例② : 音声や動画データから瞬時に議事録を作成

音声や動画データさえあれば、精度の高い議事録を NotebookLM が作成します。 対象データをソースとしてアップロード後、以下のようなプロンプトで会議の要約とタスク整理が可能です。

プロンプト例 :

会議の内容の要約とタスクを箇条書きにした議事録作成を行ってください

先ほどと同様、瞬時に音声データをテキスト化し、要点やタスクをまとめた議事録を作成します。 議事録は AI に任せることで、参加者は会議に集中できます。

4. 教育・トレーニング支援

例 : 社内規定やマニュアルから学習ガイドとクイズを自動生成

社内規定やマニュアル等をソースに追加し、[Studio]パネルの[学習ガイド]をクリックすると自動でメモが生成されます。

1 クリックでメモを自動生成してくれるので、オンボード用の資料も瞬時に作成できます。 他 Studio 機能を活用することで、以下の自動作成が容易となります。

  • 音声概要 : 会話形式での内容読み上げ (日本語で生成可能)
  • 学習ガイド : 重要ポイントや理解を深める質問の提案
  • よくある質問 :想定される質問と回答の生成
  • タイムライン : 内容の時系列整理
  • ブリーフィング : 要点を凝縮したメモ作成

中でも最近日本語対応となった「音声概要」の精度は高く、AI 生成とは思えないような 2 人のリアルな会話形式でソース内容について議論します。 移動中や作業中にオーディオで内容を把握したい場合に非常に便利です。機能やユースケースの詳細については以下ブログをご参照ください。

blog.g-gen.co.jp

NotebookLM vs Gemini アプリの使い分け

既存の業務資料がある程度蓄積されている環境の場合、NotebookLM を導入することで知識活用を加速できます。 NotebookLM と Gemini アプリの以下特徴を理解し柔軟に活用することで、さらなる業務のスピードと精度を両立できます。

  • NotebookLM は、手元の資料から正確に情報を引き出して再活用するために使う。例 : 議事録の要約、社内FAQの作成、既存資料の再構成など

  • Geminiアプリは、既存資料を活かしながら、新しい表現やアイデアを抽出するために使う。例 : 企画書の初稿作成、自由な発想が求められる問いへの回答、クリエイティブな業務支援など

川村真理(記事一覧)

クラウドソリューション部 クラウドサポート課

美容業界からITへ転身。Google Workspace 専任サポートから Google Cloud にも興味が湧き日々奮闘中。海外旅行が大好きで11カ国突破、これからも更新予定