G-gen の杉村です。 継続利用割引 (Sustained use discounts) は、 Google Compute Engine (GCE) の割引制度の一つです。
1ヶ月のうちで一定以上の時間、 VM を起動したままにしておくと、自動的に適用される割引です。
当記事では、確約利用割引の仕組みについて説明します。
似たような名前の割引制度として 確約利用割引 (Committed use discounts) が存在します。
この仕組みについては以下の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。
継続利用割引とは
継続利用割引 (Sustained use discounts) は Google Compute Engine (GCE) の割引制度の一つです。
一ヶ月のうち 25% 以上の時間 (例えば 3 月であれば 31 日間 = 744 時間ですので 25% とは 186時間) VM を起動したままにしておくと自動的に適用され、それ以降は階段状に割引額が上がっていき、総額としては最大20%〜30%の割引となります。
インスタンスを一度も停止せず、ずっと起動していれば、最大の割引メリットを得ることができます。
割引対象と対象外
Google Kubernetes Engine と Compute Engine で利用された VM が対象です。
以下は 対象外 となるため、注意が必要です。
- App Engine (standard/ flexible) で作成された VM
- Dataflow で作成された VM
- E2, A2, T2D マシンタイプ
最も安く汎用的に使えるため出番の多い E2 マシンタイプですが、 E2 には継続利用割引が適用されません。
また注意点として、継続利用割引が適用されるのは vCPU コアとメモリに対してであり 永続ディスクには適用されない 点に注意してください。
割引額
ドキュメント に記載の通り、 VM を起動していた時間に応じて階段状に割引額が増えます。
N2/N2D タイプの割引額を例に取ってみます。 (2022 年 3 月現在の割引額)
月内で起動していた時間 | 課金額 | c2-standard-4 インスタンスの場合の価格 |
---|---|---|
0%–25% | 定価の 100% | $0.2088 /h |
25%–50% | 定価の 86.78% | $0.1811 /h |
50%–75% | 定価の 73.3% | $0.1530 /h |
75%–100% | 定価の 60% | $0.1252 /h |
このように、長く起動しておけば、その 起動していた時間分の課金に対して割引 がかかります。
大事なポイントとして、起動していた分に対しての割引額がだんだん大きくなるので「停止せずにあと x 時間起動していたら逆に安くなる」といったことは 起きません 。
次に記載する計算例をご覧いただければ、意味が分かりやすいかもしれません。
計算例
c2-standard-4 インスタンス (定価 $0.2088 /h) を、例えば3月は 589 時間起動していたと仮定して継続利用割引の計算例を記載します。
※毎日、例えば深夜1時から朝6時まで停めている想定
前掲の表に従い、課金額は以下の計算になります。
589時間 を分解すると: 186時間 (0%-25%) + 186時間 (25%-50%) + 186時間 (50%-75%) + 31時間 (75%-100%) それぞれ計算: $0.2088 * 186h = $38.8368 $0.1811 * 186h = $33.6846 $0.1530 * 186h = $28.458 $0.1252 * 31h = $3.8812 $38.8368 + $33.6846 + $28.458 + $3.8812 = $104.8606 計 $104.8606
これは、単純に定価 ($0.2088) × 589 時間と計算した $122.9832 と比べると 総額では約 15% 安く なっていることが分かります。
※ ディスク料金は計算に入れていません。前述のようにディスクは継続利用割引の対象外ですので、ご注意ください。
少々計算が面倒ですが、継続利用割引は自動的に計算・適用されるので心配する必要はありません。
事前に見積もりたい場合は、公式の 利用料計算ツール を利用すると、継続利用割引を考慮に入れた金額を見積もることができます。
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長
元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。
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