Microsoft TeamsからGoogle Chatへのデータ移行を検証してみた

記事タイトルとURLをコピーする

G-gen の三浦です。当記事では2024年12月17日にベータ版として公開された Microsoft Teams から Google Chat への移行ツールの検証結果をご紹介します。

概要

Microsoft Teams からのデータ移行 とは

Teams からのメッセージの移行機能は、Google Workspace の管理機能であり、Microsoft Teams(以下、Teams)のチャンネルのメッセージを Google Chat(以下、Chat)のスペースに移行することができます。

前提条件

2024年12月現在、本機能はベータ版であり、正式リリースされていません。ベータ版機能の本番環境での利用は非推奨のため、テストや検証で使用してください。詳細は以下の利用規約をご確認ください。

当機能で移行を実施するには、Google Workspace 側では特権管理者ロールが、Teams 側ではグローバル管理者ロールが必要です。

制約

当機能には以下のような制限があります。

  • チーム内のメッセージのみ移行可能です。ユーザー間の個別チャットやダイレクトメッセージは移行できません。
  • Teams の「チーム」は Chat の「スペース」に変換されます。ただし、元の権限(標準、プライベート)はすべて制限付きスペースに変換されます。制限付きスペースは後から変更可能です。

移行に関する制限の詳細は、以下公式ドキュメントをご確認ください。

検証概要

検証環境

検証環境は以下のとおりです。実際の移行ケースを想定し、Teams と Chat のドメインおよびユーザー情報を統一した環境で検証しました。

プラットフォーム ドメイン名 ユーザー名 ライセンス
Google Workspace miurak-test.com teamstest@miurak-test.com Google Workspace Business Standard
Microsoft 365 miurak-test.com teamstest@miurak-test.com Microsoft 365 Business Basic

Teams のチームは以下のとおりです。

親ディレクトリ チーム名 種類 所有者
既定のディレクトリ 一般 標準 teamstest@miurak-test.com
既定のディレクトリ teams-channel-private プライベート teamstest@miurak-test.com
既定のディレクトリ teams-channel-public 標準 teamstest@miurak-test.com

チーム設定

検証の流れ

以下の手順でデータの移行を実施します。

項目 作業 プラットフォーム
1 Teams のグループ ID を確認 Microsoft 365
2 移行用の csv ファイルの準備 Google Workspace
3 データ移行の実施 Google Workspace
4 移行後に、Teams で新規のメッセージを送信 Microsoft 365
5 差分移行の実施 Google Workspace
6 移行を完了し、スペースを展開 Google Workspace

設定手順

[Microsoft 365] Teams のグループ ID を確認

Microsoft Teams 管理センター(https://admin.teams.microsoft.com)にログインします。

[Teams] > [チームを管理] > [エクスポート] から、チーム情報を csv 形式でエクスポートします。

エクスポートを選択

エクスポートを実行

csv を確認し、Groups Id を控えてください。

グループIDの確認

[Google Workspace] 移行用の csv ファイルの準備

Google Workspace の管理コンソール(https://admin.google.com)にログインします。

[データ] > [データのインポートとエクスポート] > [データ移行(新規)] へ移動し、ステップ 2 の [サンプル csv をダウンロード] を選択します。

移行用のサンプル csv のダウンロード

ダウンロードした csv を開き、Source MicrosoftTeamsID の箇所に、前の手順で確認した Teams の Groups Id を入力し、保存します。

移行用の csv ファイルの編集

[Google Workspace] データ移行の実施

チャットの移行の [ステップ 1] で [Microsoft アカウントに接続] を選択し、移行ツールに権限を付与します。

Microsoftアカウントに接続

Microsoftアカウントを選択

アクセス許可内容を確認して承諾

接続を確認

[ステップ 2] の [移行マップの csv をアップロード] を選択し、前の手順で作成した csv ファイルを選択します。

作成したcsvのアップロード

[ステップ 3] は、Teams と Chat のユーザー名が異なる場合のみ実施します。今回は同じため、省略します。

例: Microsoft 365 のユーザーが miura-teams@miurak-test.com で、このユーザーを Google Workspace の miura-chat@miurak-test.com に関連付けたい場合に実施します。

ユーザーIDの関連付け

[ステップ 4] で以下を選択して [保存] してください。

  • メッセージの移行開始日:Teams のメッセージを Chat へ移行する開始日を選択します。
  • マッピングされていない ID:有効化
    • ID の移行元ドメインを保持する:Teams と Chat のドメインが同じ場合はこちらを選択
    • ID にターゲットドメインを使用する:Teams と Chat のドメインが異なる場合はこちらを選択

移行設定の選択

[ステップ 5] の [移行を開始] を選択します。

移行の開始

移行が完了したことを確認します。詳細は [移行レポート] または [概要レポート] をエクスポートすることで確認できます。

※ この時点では、ユーザー側に移行したスペースは表示されません。差分を含めた移行作業をすべて完了し、最後に [スペースをロールアウト] することで表示されます。

移行完了確認

概要レポート

[Microsoft 365] 移行後に、Teams で新規のメッセージを送信

データの移行後に Teams のチャンネルで新規のメッセージを送信します。

差分検知用のメッセージ

[Google Workspace] 差分移行の実施

チャットの移行から [ステップ 5] の [差分移行を実行] を選択します。

差分移行を実施

処理が成功したことを確認します。

差分移行の成功

概要レポート

[Google Workspace] 移行を完了し、スペースを展開

すべての移行が完了したら、[スペースをロールアウト] を選択します。

スペースのロールアウトを実施

注意事項を確認したうえで、[スペースをロールアウト] を実行します。この操作を行うと、Teams 側で新たに追加されたメッセージや変更内容は Chat に移行されません。事前に十分に確認したうえで進めてください。

注意事項を確認したうえで、[スペースをロールアウト] を実行します。特に以下の点にご注意ください

  • この操作は、移行開始から30日以内に完了する必要があります。
    • 30日を過ぎると、移行を最初からやり直す必要があります。
  • ロールアウト後、Teams 側でのメッセージや変更は再移行できません。

注意事項の確認とロールアウト実行

スペースの公開が完了したことを確認します。

公開確認

Chat を確認し、差分用のメッセージも含めて移行できることを確認します。

Google Chat でのデータ移行確認

三浦 健斗(記事一覧)

クラウドソリューション部

2023年10月よりG-genにジョイン。元オンプレ中心のネットワークエンジニア。ネットワーク・セキュリティ・唐揚げ・辛いものが好き。