G-gen の山崎です。当記事では、Google Cloud Next Tokyo '24 スペシャル セッション「10X Innovation Culture Program 体験ワークショップ」に関する速報レポートをお届けします。このセッションは、クラウド技術に関するものではなく、Google の文化に関するものです。
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- 概要
- 「10X Innovation Culture Program」とは
- イノベーションが生まれる組織環境
- KINTO テクノロジーズ株式会社様による「10X Innovation Culture Program」の体験談
- 「10X Innovation Culture Program」の体験ワークショップ
- 関連記事
概要
本セッションでは、以下の構成で「10X Innovation Culture Program」について紹介されました。
- 「10X Innovation Culture Program」とは
- イノベーションが生まれる組織環境
- KINTO テクノロジーズ株式会社様による「10X Innovation Culture Program」の体験談
- 「10X Innovation Culture Program」の体験ワークショップ
「10X Innovation Culture Program」とは
Google 社は、人材やそれらを取り巻く環境こそがイノベーションを生み出す上で何よりも重要であると考え、さまざまな取り組みを行っています。
その中心となる新たなプログラムとして、組織の経営層やリーダーレベルを対象に「10X Innovation Culture Program」を提供しています。
参考:10X Innovation Culture Program
このプログラムの名称にもある「10X」とは、「10 倍のスケールで考える」という考え方であり、Google 社のイノベーションを促進するカルチャーの一つとなります。
イノベーションが生まれる組織環境
Google 社は、Gmail や Google Map 等といった 10 億人規模で使用されているアプリが 9 つあり、それらは Google 社が長年の研究やリサーチを重ねて導き出した、イノベーションを創出する上で重要とされる 6 つの要素に下支えされています。
- 多様性の尊重
- ビジョン共有
- 自主性
- 内発的動機づけ
- リスクテイク
- つながりとコラボレーション
例えば、「多様性の尊重」では、多様な人材がいるチームの方が高い成果が創出されるという研究結果の元、DEI(※)を取り入れ、各人の多様なバックグラウンドに合わせた環境作りを行っています。
※ Diversity、Equity、Inclusion(多様性、平等性、包括性)
「リスクテイク」では、10 倍のスケールを目指す上で失敗をすることは当たり前であり、失敗した時に理由を共有し、成功に向けての学びを得ることを重要視しています。
また、失敗を恐れず成功に向けて進んでいくうえで、失敗に伴い人事評価や雇用等の影響を心配してしまう環境下では、リスクを取った行動を行うことができず、イノベーションが停滞してしまうため、心理的安全性が感じられる環境が重要となります。
心理的安全性とは「対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」と定義されています。
例えば「このプロジェクトのゴールは何か?」といった基本的な質問をしたらチームメンバに呆れられてしまうのではないかと不安を感じてしまい、質問をせずにやり過ごそうとしてしまう状況は、心理的安全性が低いと言えます。
心理的安全性の高いチームでは、率直かつ建設的で絶え間ないコミュニケーションを行い、多様なアイデアをうまく活用し、高い収益を創出するとされ、Google 社内の調査では、心理的安全性のあるチームとそうではないチームで売上目標の達成度に優位な差が出ていることが分かっています。
Google 社は、心理的安全性のために「Redical Candor(徹底した率直さ)」という考え方の元、心から相手のことを気にかけることと併せて、率直に異議を唱えることを大切にし、実践しています。
また、仕事は実行の機会ではなく学習の機会と捉え、自分が間違うということを認めつつ、失敗を次に活かし成功への責任を追い求めることがイノベーションを生み出す上で大切であるとしています。
KINTO テクノロジーズ株式会社様による「10X Innovation Culture Program」の体験談
KINTO テクノロジーズ株式会社の岸氏、粟田氏が登壇され、「10X Innovation Culture Program」の体験談について紹介されました。
同社では、イノベーションを起こす上で、社内の文化を変えていく必要があると考え、トップランナーである Google 社に話をしたところ、「10X Innovation Culture Program」のことを知り、計 3 回このプログラムを開催しています。(3 回目は内製で開催)
効果的なプログラムとするために、参加メンバのコンテキストを合わせることが重要であると考え、事前に行うプログラムの内容の目線合わせを個人ではなく、全体で時間を取るようにしました。
また、実業務と切り離した環境下でプログラムを実施したほうが、より高い効果が生まれるのではと考え、実施プログラムのロケーションを変える等といった様々な工夫を行いました。
さらに、プログラム実施にあたってのマインドとして、 Google だからできる、ではなくて自分たちならば、どうできるかと考えることを大切にして進めていたと述べました。
プログラム実施後の変化として、20% ルール(※)を一部部署に導入し、技術ブログのレビューを生成 AI を用いて効率化を図ったり、全体会議をオンサイトで開催する等といったプログラムを通じて得た意見を実業務に取り入れています。
※勤務時間の 20% を自分の担当業務以外の取り組みに充てて良いとする制度
プログラム体験後のメッセージとして、プログラムのアセスメントは体重計に乗ることと同じであり、乗った後にどのようなアクションを起こすことを考えることが大事であると述べ、社内ファシリテーターの育成や、カルチャー浸透に向けて社内だけでなく社外にも目を向けて、よりよい組織環境作りを継続して行っていきたいという今後の展望を述べました。
「10X Innovation Culture Program」の体験ワークショップ
最後に、当該セッションの参加者でいくつかのグループを作り、「リスクテイク」をテーマに「10X Innovation Culture Program」の体験ワークショップを行いました。
「人」「組織」「ツール」といったカテゴリに対する問題点と、それを解決するための「始める・止める・続ける」べき内容を個人で整理し、その後 Google 社員によるファシリテートの元、グループ内で意見交換を行いました。
業界を跨ったメンバ同士でのワークショップであったため、各々が抱えている問題点に対して、様々な視点での意見交換をすると共に、Google 社での取り組みについても触れることができ、問題の解決にあたっての様々なアプローチを知る機会を得ることができました。
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山崎 曜(記事一覧)
クラウドソリューション部
元は日系大手SIerにて金融の決済領域のお客様に対して、PM/APエンジニアとして、要件定義〜保守運用まで全工程に従事。
Google Cloud 全 11 資格保有。
フルスタックな人材を目指し、日々邁進。