Looker Studio グラフの使い方を解説(サンキーグラフ編)

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G-genの荒井です。2023/04/10に Looker Studio へ実装されたサンキーグラフの使い方について解説します。非常にグラフィカルなグラフで視覚効果が高いので、一層訴求力の高いダッシュボード作成に役立つグラフです。

概要

サンキーグラフとは

サンキーグラフとは、複数カテゴリ間のフローやデータ流量、関係性を表すために役立つグラフです。

サンキーチャート、サンキーダイアグラムと呼ばれることもあります。

ユースケース

サンキーグラフのユースケースとして、以下のようなデータを分析したい際に利用します。

  • Webページを訪れたユーザーのページ遷移
  • 人口の移動経路
  • マーケティングメールの開封率

用語

ノード

サンキーグラフで表示されるデータの「始点」や「終点」を示します。(図①参照)
ノードは「ソースノード」と「ターゲットノード」に分類されます。

ソースノード

ノードの始点側を「ソースノード」と呼びます。(図②参照)

ターゲットノード

ノードの終点側を「ターゲットノード」と呼びます。(図③参照)

リンク

ノードとノードの間に存在するデータの流量を表す線を「リンク」と呼びます。(図④参照)
リンクの太さは「重み付け」と呼ばれ、集計されたデータ(指標)が高いほどリンクの太さが増し、重みが高い状態となります。

サンキーグラフのデータソース

必要なカラム

実際にサンキーグラフを作る際は、どういったデータを用意したら良いか、馴染みのある棒グラフや円グラフなどとは違うため、イメージしづらいかもしれません。

サンキーグラフではデータソースとして、以下のようなカラムが必要となります。

  • ソースノード(ディメンション)
  • ターゲットノード(ディメンション)
  • データ(指標)

サンプルデータソース

当記事ではサンプルデータとして、転居に伴う人口の移動数を示した表を使います。ソースノードを [転居元]、ターゲットノードを [転居先]、データを [移動人口数] する想定でサンプルデータを用意しました。

当記事では上記の表をスプレッドシートで作成し、Looker Studio から直接参照します。

サンキーグラフの作成方法

グラフの選択

Looker Studio へログインしたら、レポート作成画面の グラフを追加 から サンキー を選択します。

ディメンションの設定

ディメンションには、転居元転居先を設定します。 先に配置されたディメンションが、ソースノード(グラフの左側)になります。

指標の設定

重み付けの指標には移動人口数を設定し、リンクで表現したい指標に変更します。

作成完了

これでサンキーグラフの作成は完了です。 静岡市からどこの市町村にどの程度の人口が転居したかが可視化されました。

リンクにカーソルを合わせると、移動した人口数がわかります。

Tips

複数ノードからなるサンキーグラフ

データソース次第で、ノードが複数配置されるサンキーグラフの作成も可能です。

上記グラフのデータソースは、以下です。赤色の行が、元々のデータに追加した差分です。

注意点

循環データは非対応

Looker Studio のサンキーグラフは「サイクル」に対応していません。サイクルとは、今回のデータソースで言うと 静岡市 > 浜松市 > 静岡市 のように同じノードがフローの中に再登場し、循環してしまうようなケースです。

データソースに 浜松市 > 静岡市 といったデータ(黄セル)を追加してみます。 2行目に 静岡市 > 浜松市(青セル)がありますのでデータがサイクル(循環)します。

この状態で Looker Studio を更新すると、以下のようなエラーになります。

Looker Studio のサンキーグラフはまだ循環するデータに対応していません。例えば Web サイトのページ遷移を分析する場合、Aページ > Bページ > Aページと遷移するなどサイクルが発生する可能性が十分あります。循環データへの対応については、今後のアップデートに期待です!

データの内訳までは読み取れない

以下の人口移動に関するグラフは、磐田市への移動人口の総数が40人であることを示しています。

しかし上記の表からは「静岡市にいた40人が、富士市を経由して磐田市に移動した」のか「静岡市に元々いた20人と、富士市に元々いた20人が磐田市に移動した」のか、その内訳を知ることができません。 ※ マウスオーバーやドリルダウンなどで確認することもできません。

このように、Looker Studio のサンキーデータでは、データの内訳(ユニークユーザーや、Web のユニークセッション)は特定できません。

荒井 雄基 (記事一覧)

クラウドソリューション部

オンプレ環境のネットワーク・サーバーシステムを主戦場としていたが、クラウド領域にシフト。
Google Cloud 認定資格 6冠
現在は Google Workspace を中心に企業の DX 推進をサポート。
最近頑張っていることは、子どもがハマっている戦隊モノの踊りを踊れるようになること。