Google Maps Platform の基本を解説!

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当記事は みずほリサーチ&テクノロジーズ × G-gen エンジニアコラボレーション企画 で執筆されたものです。

Google Maps は Google の提供するサービスの中でもなじみ深いサービスの一つです。 Google Maps Platform では Google Maps の機能やデータを簡単に利用することができ、Google Cloud 選択のきっかけになるプロダクトです。


G-gen の佐々木です。当記事では、Google Cloud のサービスではなく、同じく Google によって提供されている Google Maps Platform について解説していきます。

Google Maps Platform

Google Maps Platform とは

Google Maps は Google が提供するウェブマッピングプラットフォームです。
衛星写真、航空写真、ストリートマップ、360°のストリートビューのほか、各種交通機関のルート検索、リアルタイム交通状況の検索など多数の機能が提供され、世界中で 10 億人以上のユーザーに利用されています。

Google Maps Platform では、アプリケーションに Google Maps の機能を組み込むことのできる API と SDK のセットが提供されます。
Android、iOS、ウェブブラウザから、HTTP を使用して Google Maps Platform の様々なツールを利用できます。

Google Maps Platform の機能

Google Maps Platform では、大きく分けて MapsRoutesPlaces の 3 種類の機能が提供されており、それぞれいくつかのプロダクトが存在します。
ユーザーは各プロダクトの API を利用することで、アプリケーションに Google Maps の機能を実装することができます。

Maps

Maps のプロダクトでは、Web ページに組み込むことのできる Google Maps の地図表示や 360° のストリートビューなど、地図に関する情報を取得する API が提供されます。

プロダクト 説明
Static Maps Google Maps の地図を静止画像として Web ページに埋め込むことができます。
標準的な HTTP リクエストで指定したパラメータに基づいて地図を作成し、Web ページに表示する画像を返す API が提供されます。
Dynamic Maps 250 種類以上のカスタマイズ項目により、ビジネスニーズに合わせてユーザーがカスタマイズした Google Maps の地図を Web ページに組み込むことができます。
Static Street View Google Maps の 360°ストリートビューを静止画像として Web ページに埋め込むことができます。
標準的な HTTP リクエストで指定した場所やカメラの向きなどのパラメータに基づいてストリートビューの画像を返す API が提供されます。
Dynamic Street View Google Maps の 360°ストリートビューを Web ページに配置することができます。
Static Street View と異なり、Web ページ上のストリートビューを Google Maps 上で使用するときと同じように操作することができます。
Maps Embed シンプルな HTML を使用して、Web ページに地図機能やストリートビューを配置することができます。
地図を画像としてページに埋め込む Static Maps と異なり、Google Maps で地図を見る場合と同様、地図の拡大や、場所に関する情報を見ることができます。
Elevation 地球上のある地点の高度のデータをクエリすることができる API が提供されます。
高度データは海底を含むあらゆる地表の地点について取得することができます。

Routes

Routes のプロダクトでは、指定した複数の地点間の最適なルート検索や、移動時間、距離などの情報の計算など、経路に関する情報を取得する API が提供されます。

プロダクト 説明
Directions ある地点から別の地点への経路を検索することができる API が提供されます。
単純な移動経路だけではなく、乗換案内や各種移動手段 (車、徒歩、自動車など) を利用した場合のそれぞれの経路を検索することができます。
Distance Matrix ある地点から別の地点への移動にかかる時間と距離を計算する API が提供されます。
高速道路やフェリーなど、移動手段を詳細に指定することができます。
Roads 移動中に GPS で取得した位置データを利用し、移動経路を地図上に記録したり、通過した道路に関する追加のデータ (制限速度など) を取得することができます。
Routes ある地点から別の地点への最適な経路を計算し、距離と移動時間を返す API が提供されます。
Directions と Distance Matrix のパフォーマンスを最適化した API であり、レスポンスレイテンシの短縮、移動手段の選択肢の追加 (自動二輪車など)、エコルート (エネルギー効率の良いルート) 検索など、様々な機能強化がされています。

Places

Place のプロダクトでは、Google が保持する全世界 1 億以上のスポットに関する情報から、所在地や施設名、電話番号などを検索する API が提供されます。

API 説明
Geocoding 住所を地理座標 (緯度・経度) に変換する API が提供されます。
Address Validation 入力された住所の情報を識別・検証し、正しくない住所の修正を行ったり、郵便番号などの情報を補足したりする API を提供します。
Autocomplete ユーザーがテキストボックスに住所情報を入力する際、予測された住所の候補を返すオートコンプリート機能を組み込むことができます。
Place Search 指定した位置の周辺にある施設などのスポットを返す NearBySearch 機能と、入力したキーワードに関連する位置情報の候補を返す TextSearch 機能が提供されます。
Place Details Place Search で返された place_id を入力として使用することで、場所に関する詳細な情報 (完全な住所、電話番号、ユーザー評価など) を返す API が提供されます。
Place Photos Place Search、Place Details のレスポンスとして返される photoreference の値を使用し、検索した場所に関する写真コンテンツを返す API が提供されます。
Current Place Android 、iOS デバイスの位置情報から場所を検出し、場所に関する情報を返す API が提供されます。
Geolocation デバイスが検出できる基地局や Wi-Fi ノードの情報に基づき、現在地の推定緯度、経度の情報を返す API が提供されます。
Time Zone タイムスタンプと地理座標の情報を入力として、UTC からの時差やサマータイム期間のオフセットを返す API が提供されます。

ユースケース

公式ドキュメントの金融サービス向けのソリューションから抜粋しています。

ユーザーを支店や ATM に誘導する

Directions や Distance Matrix を使用することで、Google Map 上に最寄りの店舗や ATM の情報を表示し、最新の交通情報を用いて店舗までの経路や距離、到着予定時刻をユーザーに通知することができます。
また、Static Street View で取得した店舗の画像や、Place Details で取得した店舗の営業時間を追加の情報として利用することができます。

参考:金融サービス向けのソリューション - 支店や ATM にユーザーを誘導

住所入力の簡略化

Address Validation や Autocomplete を使用することで、新規アカウント開設やクレジットカード、ローン申し込みの際の住所入力に間違いがないようにユーザーをサポートすることができます。
Static Maps により、入力された住所の地図を確認用に表示することもできます。

参考:金融サービス向けのソリューション - 確認済みアカウントの登録を簡略化

Google Maps Platform の使用方法

Google Cloud プロジェクトの作成

Google Maps Platform は Google Cloud とは異なる Google プロダクトですが、利用には Google Cloud のプロジェクトを作成する必要があります。
Google Cloud プロジェクトに請求先アカウントを紐付けて課金を有効にし、利用したい Google Maps Platform プロダクトの API をプロジェクトで有効化します。

API キーの発行

API キー は、Google Maps Platform の API を呼び出す際に使用される認証情報であり、請求先アカウントに紐付きます。
API キーをリクエストのパラメータに追加することで、各種 API を利用できるようになります。

API キーが漏洩してしまうと、誰でも API を呼び出すことができてしまいます。
キーの使用には以下のような制限をかけることができるので、必ず制限を設定するようにします。

制限の種類 説明
アプリケーションの制限 特定のサイト (IP アドレス、Web サイト)やプラットフォーム (Android、iOS など) のみが API キーを使用できるように制限します。
API の制限 許可された Google Maps Platform プロダクトの API に対するリクエストにのみ API キーを使用できるように制限します。

料金について

従量課金制

Google Maps Platform は従量課金制であり、各機能ごとの API リクエストの回数に応じて料金が発生します。
料金の詳細については公式ドキュメントの料金ページまたは計算ツールを参照してください。

無料枠

Google Maps Platform では毎月 $200 の無料枠が提供されており、各 API の使用料の合計がこれを超過した時点から料金が発生します。
また、Google Cloud の $300 分の無料トライアルは Google Maps Platform の利用料金に対しても適用されます。

ボリュームディスカウント

各機能ごとに、1 ヶ月あたりの API リクエストが 10 万回を超えて以降は 20 % の割引が適用されます。
また、API リクエストが 1 ヶ月あたり 50 万回を超える場合は、追加のディスカウントが適用されます (要問い合わせ) 。

佐々木 駿太 (記事一覧)

G-gen最北端、北海道在住のクラウドソリューション部エンジニア

2022年6月にG-genにジョイン。Google Cloud Partner Top Engineer 2025 Fellowに選出。好きなGoogle CloudプロダクトはCloud Run。

趣味はコーヒー、小説(SF、ミステリ)、カラオケなど。