こんにちは、G-gen の武井です。当記事では、Google Cloud(旧称 GCP)の割り当て(Quota)を緩和する方法をご紹介します。
割り当て(Quota)とは
Google Cloud(旧称 GCP)の VPC や Compute Engine など各種サービスでは、使用できるリソースの割り当て量に上限が設けられています。これらは、サービスの過負荷を防いだり、意図せず突発的に大量のリソースを作成してしまうことを防ぐために設定されています。
Google Cloud ではこのような上限値として、割り当て(Quota)と上限(Limit)があります。割り当て(Quota)は場合によっては緩和可能であり、上限(Limit)は原則的に緩和できません。
この割り当てや上限を意識せずに Google Cloud を利用していると、ある日突然「VM インスタンスに新しく外部 IP アドレスを割り当てられなくなった」**というような、予期せぬトラブルに繋がる可能性があります。
多くのリソースの割り当ては、正しい手順を踏むことで変更可能です。当記事では、リソース割り当ての増加を Google にリクエストする方法や、それに関する注意点について紹介します。
- 参考 : 割り当て値とシステムの上限について
リソース割り当ての増加リクエスト
Google Cloud コンソールの「割り当て」の画面から、Google に対してリソース割り当て量の増加をリクエストできます。ナビゲーションメニュー、または検索ボックスから IAM と管理 > 割り当て
と遷移してください。
以下のように、フィルタにサービス名を入力して絞り込みます。
次に、上限を変更したいリソースにチェックを入れ、割り当ての編集
をクリックします。
変更後の割り当て数と、リクエストの正当な理由を記載したら、次へ
をクリックします。
最後に、名前、メールアドレス、電話番号を入力したら、リクエストを送信
をクリックします。
申請は、通常は2〜3営業日以内に評価され、過去の利用実績に基づいて審査されます。リクエストの申請が承認されたら、リソースの割り当てが変更されたことを確認しましょう。
注意点
権限(IAM ロール)
リクエストを起票するアカウントに、プロジェクトレベルで以下の IAM ロールが必要です。
resourcemanager.projects.get
onitoring.timeSeries.list
serviceusage.services.list
serviceusage.quotas.get
serviceusage.quotas.update
これらの権限は、基本ロールであるオーナーと編集者、また事前定義ロールであるService Usage 管理者などに含まれています。
以下は、権限が不足しているアカウントで割り当て変更リクエストを申請しようとした際のスクリーンショットです。「この割り当てを編集するのに必要な権限がありません。」と表示された場合は、操作しているアカウントの権限を確認してください。
- 参考 : 割り当て増加リクエストを表示する権限
プロジェクトの支払いステータス
無料トライアル中の Google Cloud 環境では割り当て増加のリクエストはできません。また、変更リクエストを実施しようとしているプロジェクトは、支払いプロファイルが紐付いた請求先アカウントに紐付いている必要があります。
つまり、割り当て増加リクエストを行うには、Google Cloud プロジェクトが利用料を支払える状態である必要があります。
以下は、トライアル中の Google Cloud プロジェクトで割り当て増加リクエストを申請しようとした際のスクリーンショットです。このようなメッセージが表示された場合は、まずはプロジェクトの状態をご確認ください。
サービス利用状況の履歴に基づき、現時点で割り当て増加はご利用いただけません。 現在ご利用いただける割り当てをご活用ください。 また、追加のリソースが必要な場合は、Google のセールスチーム(https://cloud.google.com/contact/)にご連絡のうえ、 割り当て増加の資格を得るためのその他のオプションについてご相談ください。
Google Cloud の請求の仕組みについては、以下の記事もあわせて参照してください。
武井 祐介 (記事一覧)
クラウドソリューション部所属。G-gen唯一の山梨県在住エンジニア
Google Cloud Partner Top Engineer 2025 選出。IaC や CI/CD 周りのサービスやプロダクトが興味分野です。
趣味はロードバイク、ロードレースやサッカー観戦です。
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