G-gen の min です。Looker Studio レポートに表示するデータを、閲覧者のメールアドレスに基づいて動的に制限する方法を解説します。
概要
Looker Studio で作成したレポートを複数のユーザーで共有する際に、同じレポートでありながら、閲覧するユーザーのメールアドレスに応じて表示されるデータを出し分けたいという要件があります。例えば、営業担当者ごとに自身の売上データのみを表示する、といったケースです。
Looker Studio では、データソースに「メールアドレスでフィルタ」を設定することで、このような行レベルのデータセキュリティを実現できます。この機能を利用すると、レポート閲覧時に自身のデータソースへのアクセス許可を求めるダイアログが表示されます。閲覧者がアクセスを許可すると、データソースはそのメールアドレスに関連付けられたデータのみを返します。
- 参考 : メールアドレスでフィルタする
設定方法
以下に、データソースにメールアドレスフィルタを設定する手順を説明します。
メニューから [リソース] > [追加済みのデータソースの管理] を選択します。
対象のデータソースから [アクション] > [編集] をクリックします。
データソースエディタ画面の上部にある [メールアドレスでフィルタ] をクリックします。
「閲覧者のメールアドレスでデータをフィルタリングする」というダイアログが表示されます。[閲覧者のメールアドレスでデータをフィルタ] というチェックボックスをオンにします。
※このとき、以下のようなガイドが表示され、データソースへのアクセス許可を求められます。許可します。
[メールアドレス項目] のプルダウンメニューから、データセット内で閲覧者のメールアドレスが格納されているフィールド(例:
担当者Emailアドレス
フィールド)を選択します。このフィールドのデータ型はテキストである必要があります。右上の [完了] をクリックします。
上記の設定により、このデータソースを使用するすべてのレポートで、メールアドレスによるフィルタが有効です。
検証
メールアドレスによるフィルタが設定されたレポートを、異なるメールアドレスを持つユーザーが閲覧した際の動作を検証します。 前提として、基になるデータセットには、レポートにアクセスする各ユーザーの完全なメールアドレスが含まれている必要があります。
ここでは、以下の2つのユーザーアカウントで検証します。
- ユーザー A : user-a@example.com
- ユーザー B : user-b@example.com
データソースには、各ユーザーのメールアドレスと関連するデータ「各担当者の売上成績サンプル」が含まれています。
レポートを閲覧しようとすると、まず以下のようなダイアログが表示され、データソースへのアクセス許可を求められます。
データソースへのアクセスを許可した場合
ユーザーが [許可] をクリックしてメールアドレスへのアクセスに同意すると、レポートにはそのユーザーのメールアドレスに関連付けられたデータのみが表示されます。
例えば、ユーザー A(user-a@example.com)がレポートを閲覧すると、データソースは user-a@example.com に紐づくデータのみを返すため、ユーザーAに関連する情報だけが表示されます。
同様に、ユーザー B(user-b@example.com)が同じレポートを閲覧すると、ユーザー B に関連する情報だけが表示されます。
このようにして、単一のレポートでユーザーごとに表示データを切り替えられます。
なお、一度同意した場合でも、ユーザーは後からその同意を取り消せます。同意の取り消しは、Looker Studio ログイン後の、右上の設定アイコンから行えます。
[同意を取り消す] > [すべて取り消す] を選択します。
- 参考 : メールへのアクセス権を取り消す
データソースへのアクセスを許可しない場合
ユーザーがデータソースへのアクセス許可を求めるダイアログで [許可しない] をクリックした場合、またはダイアログを閉じた場合、データソースはメールアドレスによるフィルタリングを行えません。
その結果、データソースに基づくレポートのコンポーネント(グラフや表など)には、「このコンポーネントはデータを読み込むにあたりお客様の同意を必要としています。」といったメッセージが表示され、実際のデータは表示されません。
佐々木 愛美 (min) (記事一覧)
クラウドソリューション部 データアナリティクス課。2024年7月 G-gen にジョイン。G-gen 最南端、沖縄県在住。最近覚えた島言葉は、「マヤー(猫)」。