G-gen の杉村です。2025年6月のイチオシ Google Cloud(旧称 GCP)アップデートをまとめてご紹介します。記載は全て、記事公開当時のものですのでご留意ください。
- はじめに
- Pub/Sub に Single Message Transforms(SMTs)機能が登場
- BigQuery へのロード時に日付形式、タイムゾーンが指定可能に
- Google Workspace(Gmail)
- Googleドライブで "Catch me up" 機能が追加
- Gemini アプリで GitHub リポジトリをインポート可能に
- Gemini 2.5 Pro の最新プレビュー版が利用可能に
- Oracle Database@Google Cloud が東京リージョンで利用可能に
- Model Armor が日本語を含む多言語対応
- Google Vids における動画生成が音声付きに(Veo 3利用)
- Google フォームに Gemini が組み込み
- 新サービス Cloud Location Finder が登場
- Looker で継続的インテグレーション(CI)機能がプレビュー公開
- Looker(Google Cloud Core)で Code Interpreter in Conversational Analytics
- Cloud Run jobs で GPU が利用可能(Preview)
- Gemini 2.5 Flash/Pro が一般公開(GA)
- Google スプレッドシートの Gemini 分析が日本語に対応
- Google フォームに新しいアクセス制御設定が追加
- Google Meet で字幕スタイルをカスタマイズできるように
- BigQuery でメタデータの自動生成が可能に(Preview)
- 組織レベルで VPC Flow Logs が設定できるように(Preview)
- Cloud Armor で組織レベルのアドレスグループが作成可能に
- Gemini Code Assist が大幅パワーアップ
- Gemini CLI がリリース
- Artifact Registry で Generic レポジトリが GA
- Google スプレッドシートで AI 関数が一般公開
- 新しい Google Workspace アドオン「Google AI Ultra for Business」登場
- Cloud Run で worker pools が利用可能に
- サイドパネルでの画像生成が Imagen 4 を使うように変更
- Cloud Armor で階層型セキュリティポリシーが利用可能に(Preview)
- Security Command Center でリスクレポートを PDF ダウンロード
- Gemini アプリでスケジュール実行が利用可能に
はじめに
当記事では、毎月の Google Cloud(旧称 GCP)や Google Workspace(旧称 GSuite)のアップデートのうち、特に重要なものをまとめます。
また当記事は、Google Cloud に関するある程度の知識を前提に記載されています。前提知識を得るには、ぜひ以下の記事もご参照ください。
リンク先の公式ガイドは、英語版で表示しないと最新情報が反映されていない場合がありますためご注意ください。
Pub/Sub に Single Message Transforms(SMTs)機能が登場
Single Message Transforms (SMTs) overview (2025-06-02)
Pub/Sub に Single Message Transforms(SMTs)機能が登場。
Pub/Sub 内でメッセージに対して軽微な変換を直接実行。機密情報をマスク、タイムスタンプ形式を揃える、新しいフィールド作成など。トピックおよびサブスクリプション内のメッセージを対象にできる。
以下の記事も参照。
BigQuery へのロード時に日付形式、タイムゾーンが指定可能に
BigQuery release notes - June 02, 2025 (2025-06-02)
BigQuery の CREATE EXTERNAL TABLE と LOAD DATA で以下オプションが利用可能(Preview)。
- time_zone
- date_format
- datetime_format
- time_format
- timestamp_format
これまで DATE 型としてはロードできなかった「YYYY/mm/dd」といった日付形式をそのままロードできるようになる。従来は、自動スキーマ検知では取り入れることができたが、型を明示するとエラーになった。従来は、STRING 型でいったん取り込むなどしていた。
以下の記事も参照。
Google Workspace(Gmail)
Gmail に Jira のアドオンが登場
Integrate Jira with Gmail to create, update, and track work items directly in your inbox (2025-06-02)
Gmail に Jira のアドオンが登場。
Gmail から直接 Jira に issue の作成・閲覧などが可能。
Googleドライブで "Catch me up" 機能が追加
Stay up to date on the latest changes to your files in Drive using “Catch me up” (2025-06-03)
Googleドライブで "Catch me up" 機能が追加。
最後に閲覧したときからのファイルの変更点を AI がまとめて表示してくれる。ただし現在のところ、アカウント設定を英語にする必要あり。順次ロールアウト。
Gemini アプリで GitHub リポジトリをインポート可能に
Upload code folders or import your GitHub repositories directly into the Gemini app (2025-06-04)
Google Workspace 付属の Gemini アプリで、GitHub リポジトリをインポートできるようになった。
リポジトリ内のコードを前提にして新たなコードを生成、修正したり、説明させたりできる。
Gemini 2.5 Pro の最新プレビュー版が利用可能に
Vertex AI release notes - June 05, 2025 (2025-06-05)
Gemini 2.5 Pro の最新プレビュー版 gemini-2.5-pro-preview-06-05
が利用可能に。
基本機能に違いはなく、精度が向上。
Oracle Database@Google Cloud が東京リージョンで利用可能に
Regional availability (2025-06-05)
Oracle Database@Google Cloud が東京リージョンで利用可能に。利用可能リージョンは以下のとおり。
- asia-northeast1(Tokyo, Japan)
- us-east4(Northern Virginia)
- us-west3(Salt Lake City)
- europe-west2(London)
- europe-west3(Frankfurt)
Model Armor が日本語を含む多言語対応
Security Command Center release notes - June 08, 2025 (2025-06-08)
Model Armor が日本語を含む多言語対応。
「責任ある AI」および「プロンプトインジェクションとジェイルブレイクの検出」機能において、以下の言語が対応。
- 日本語
- 英語
- スペイン語
- フランス語
- イタリア語
- ポルトガル語
- ドイツ語
- 中国語(北京語)
- 韓国語
以下の記事で検証結果を掲載。
Google Vids における動画生成が音声付きに(Veo 3利用)
Generate video clips with sound using Veo 3 in Google Vids (2025-06-09)
Google Workspace に付属の動画編集ツール Google Vids における動画生成が音声付きに。
新モデル Veo 3 を使って8秒間の動画クリップを生成。順次ロールアウト。なお現在のところ、動画生成はアカウントを英語設定にしないと使えない。
Google フォームに Gemini が組み込み
Use Gemini in Google Forms to summarize form responses (2025-06-10)
Google フォームにも Gemini が組み込まれる。
フォームへの回答をサマリ。回答者の回答だけでなくフォームのタイトル、説明、質問もコンテキストとして使われる。順次ロールアウト。
新サービス Cloud Location Finder が登場
Cloud Location Finder overview (2025-06-11)
Google Cloud に新サービス Cloud Location Finder が登場。
指定の Google Cloud、AWS、Azure、OCI のリージョン・ゾーン間で、最もレイテンシや二酸化炭素排出量や小さい場所を検索できる。現在は gcloud または REST API のみ
Looker で継続的インテグレーション(CI)機能がプレビュー公開
Looker Continuous Integration (2025-06-11)
Looker で継続的インテグレーション(CI)機能がプレビュー公開。
プルリク時に「SQL や LookML のバリデーション」「Assert」「ダッシュボードのエラーチェック」などのバリデーションが走る。本番環境への展開前に各種チェックが可能。
Looker(Google Cloud Core)で Code Interpreter in Conversational Analytics
Conversational Analytics Code Interpreter (2025-06-11)
Original 版 Looker に続いて Google Cloud Core 版でも Code Interpreter in Conversational Analytics がプレビュー公開。
AI が自然言語の指示を Python に書き換えて、分析や可視化をしてくれる。デフォルトでオフだが管理ページから有効化できる。現在、以下のプラットフォームで利用可能。
- Looker Studio Pro
- Looker(original)
- Looker(Google Cloud core)
Cloud Run jobs で GPU が利用可能(Preview)
Configure GPUs for Cloud Run jobs (2025-06-16)
Cloud Run jobs で GPU が利用可能に(Preview)。
これで、Cloud Run services と jobs の両方で GPU が利用可能になった。24 GB の GPU メモリ(VRAM)を搭載した NVIDIA L4 GPU を1つ、コンテナインスタンスにアタッチ可能。
Gemini 2.5 Flash/Pro が一般公開(GA)
Vertex AI release notes - June 17, 2025 (2025-06-17)
Gemini 2.5 Flash/Pro が一般公開(GA)。
これまでの Preview 版は 2025-07-15 には使用不可になるので注意。同時に以下も利用可能に。
- 低レイテンシモデルである Gemini 2.5 Flash-Lite(Preview)
- 双方向の音声・動画やりとりができる Live API(申請が必要な Private GA)
- Gemini 2.5 Flash の価格帯は Preview 時から変更
- thinking output は安価に、non-thinking output は高価に。
Google スプレッドシートの Gemini 分析が日本語に対応
Generate charts and valuable insights using Gemini in Google Sheets in additional languages (2025-06-17)
Google スプレッドシートで、Gemini サイドパネルにおけるデータ分析が日本語に対応。
自然言語で指示すると裏で Python コードに変換し実行、スプシのデータから洞察や図表を生成してくれる。Business/Standard Enterprise以上のプラン等で利用可能。
Google フォームに新しいアクセス制御設定が追加
Adding new admin settings to control Google Form responses (2025-06-17)
Google フォームに新しい管理者設定が追加。以下を管理画面から制御できるようになった。
- 組織のアカウントが組織外のフォームに回答できるかどうか
- 組織のアカウントが作ったフォームを組織外に共有できるかどうか
Google Meet で字幕スタイルをカスタマイズできるように
Google Meet now offers customizable caption styling (2025-06-17)
Google Meet で字幕(caption)のスタイルをカスタマイズできるようになった。
サイズ、フォント、色を変更可能。順次ロールアウト。
BigQuery でメタデータの自動生成が可能に(Preview)
Generate data insights in BigQuery (2025-06-18)
BigQuery で Gemini によりテーブルと列の説明(Description)を自動生成可能に(Preview)。
Data insightでテーブルの分析情報を生成すると Description も生成。テーブル、外部テーブル、ビューで利用可。Google Cloud Next で発表されたメタデータ自動生成の実装。生成されるメタデータは、現在は英語のみ。

組織レベルで VPC Flow Logs が設定できるように(Preview)
Enable VPC Flow Logs for an organization (2025-06-18)
組織レベルや VPC ネットワークレベルで VPC Flow Logs が設定できるように(Preview)。
これまではサブネットレベルや VLAN アタッチメントごとに有効化する必要があった。組織レベルで証跡管理の統制を取る際に有用。
Cloud Armor で組織レベルのアドレスグループが作成可能に
Organization-scoped address groups (2025-06-24)
Cloud Armor で組織レベルのアドレスグループが作成可能に(Preview)。
組織レベルで IP アドレスのグループを定義して、許可リストや拒否リストとして使い回すことができるようになった。これまではプロジェクトレベルで都度作成する必要があった。
Gemini Code Assist が大幅パワーアップ
Gemini Code Assist release notes - June 25, 2025 (2025-06-25)
Google のコーディング支援ツール「Gemini Code Assist」が大幅パワーアップ。
- エージェントモード(複数ステップタスクの提案と実行)
- プロジェクト全体コンテキストへの理解
- 複数ファイルにまたがる編集
Google Cloud Next で発表された「Gemini Code Assist Agents」の一部が実装されたもの。
Gemini CLI がリリース
Gemini CLI: your open-source AI agent (2025-06-25)
Gemini CLI がリリース。Node.js ベースの CLI。
Gemini Code Assist と連携しており AI コーディングのインターフェイスとして利用可能。無料版および Gemini Code Assist Standard/Enterprise 付帯版。Google検索グラウンディングや MCP での拡張も対応。

以下の記事も参照。
Artifact Registry で Generic レポジトリが GA
Work with other artifact formats (2025-06-25)
Artifact Registry で Generic レポジトリが GA。
特定フォーマットでなくバイナリや zip、YAML、PDF、テキスト、メディアファイルなど何でも格納できる。
Google スプレッドシートで AI 関数が一般公開
Generate data with Gemini in Google Sheets (2025-06-25)
Google スプレッドシートで AI 関数が一般公開。テキスト生成、要約、分類などがスプシ上の関数だけで実現できる。
=AI("プロンプト")
のように使う。Business/Enterprise Standard 以上などのエディションで利用可。2025-06-25から順次ロールアウトされていく。
新しい Google Workspace アドオン「Google AI Ultra for Business」登場
Introducing Google AI Ultra for Business: Providing Access to Advanced AI Features and Next-Gen tools (2025-06-26)
Google Workspace に新しい AI アドオンライセンス「Google AI Ultra for Business」が登場。
- Gemini アプリで動画生成の上限緩和
- 映像生成ツール Flow
- 画像生成ツール Whisk
- Project Mariner へのアクセス ... 等
2025-06-26 から Business/Enterprise エディションのアドオンとして購入可能。
Cloud Run で worker pools が利用可能に
Deploy worker pools to Cloud Run (2025-06-26)
Cloud Run で新しいデプロイモデルである worker pools が利用可能になった。
メッセージキューから Pull してタスクを処理していくための Cloud Run モデル。services と同様、リビジョンの概念あり。以下の記事も参照。
サイドパネルでの画像生成が Imagen 4 を使うように変更
Google Workspace Updates Weekly Recap - June 27, 2025 (2025-06-27)
Googleドキュメント、スライド、Google Vids での画像生成が最新モデル Imagen 4 を使うようになった。
日本語にもすでに対応。従来よりプロンプト遵守の精度が上がったり、画像内のテキストの精度があがる等している。
Cloud Armor で階層型セキュリティポリシーが利用可能に(Preview)
Hierarchical security policies overview (2025-06-27)
Google Cloud のフルマネージド WAF である Cloud Armor で、階層型セキュリティポリシーが Preview 公開。
プロジェクト内だけでなく、組織で使い回せる。使用するには Cloud Armor Enterprise ティアの登録が必要。従来ポリシーと併用可能で先に階層型ポリシーが評価される。
Security Command Center でリスクレポートを PDF ダウンロード
Hierarchical security policies overview (2025-06-27)
Security Command Center(Enterprise/Premium)でリスクレポートを PDF ダウンロードできるようになった(Preview)。
- ハイリスクリソースの分析
- 攻撃者のエントリポイント
- 問題ある設定の組み合わせ ... など
Gemini アプリでスケジュール実行が利用可能に
Gemini アプリでアクションのスケジュールを設定する (2025-06-29)
Gemini アプリでスケジュール実行が利用可能になった。プロンプトでやらせたいアクションを指示すると、定期的に実行してくれる。
- 未読メールまとめ
- To Do 管理 ... など
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長
元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 認定資格および Google Cloud 認定資格はすべて取得。X(旧 Twitter)では Google Cloud や Google Workspace のアップデート情報をつぶやいています。
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