Gmailのトラブルシューティング方法を解説

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G-gen の荒井です。当記事では、Gmail におけるメール送受信のトラブルシューティング観点を解説します。

はじめに

メールのトラブルシューティングを行う上で最も重要なのは、メールのシステムや仕組みを正しく理解することです。仕組みを理解することで、障害箇所の特定やトラブルの解決を素早く行うことができます。

当記事では、まずメール送受信の仕組み、および経由するネットワークやシステムについて解説します。次に、トラブルシューティングの観点やトラブルシューティング方法を紹介します。

メールの仕組み(送受信経路)

メールの送受信経路はおおまかに、以下のとおりです。

  1. メール送信者がメールソフト(Web メール)でメールを新規作成し送信
  2. メールサーバー(送信側)を中継し、DNS サーバーへ問い合わせを行い MX レコードから宛先メールサーバーを特定
  3. メールサーバー(送信側)からインターネット経由でメールサーバー(受信側)へ送信
  4. 受信側メールサーバーにメールが到達
  5. メール受信者がメールサーバーに届いたメールを閲覧

このように、メールはインターネットを含め各社ネットワークやシステムを経由して送信者から受信者へ届きます。この送受信経路を踏まえて、トラブルシューティングを行う必要があります。

トラブルシューティングの観点

トラブルの原因は自社システムだけではないことを理解する

メールは送信側ネットワークやシステムから送信され、インターネットを超えて受信側ネットワークやシステムに届きます。メールは自社システムだけで完結しない点が重要です。したがって、メールに関するトラブルシューティングは、自社システムだけで解決できない場合があります。

トラブルシューティングの際は、メール送受信経路全体を捉え、送信側と受信側両方のネットワークやシステムを調査します。

どこまで到達しているか確認する

前述の通り、メールはインターネット、送信側ネットワーク、受信側ネットワークといったネットワークを経由します。到達している箇所により、調査実施者や対応方法は異なります。そのため、メールがどこまで到達しているか把握できれば、対応方針や対策の判断材料となります。

例 : 送信側メールサーバーから送信されているか否か(送信が成功していれば、受信側メールサーバーの調査が必要)
例 : 受信側メールサーバーで受信しているか否か(受信ログがない場合、送信側メールサーバーの調査が必要)

ログからアクションを確認する

メールが到達した箇所でどのようなアクションが実行されたかを確認できれば、対応方針を決定できます。送信側で確認できるのは送信メールサーバーのログまでです。メールが問題なく送信された場合、受信側での状況(ログを含む)を確認するため受信側への依頼が必要です。送信側から受信メールサーバーのログを直接確認することはできません。

まずは送信側メールサーバーログから、メールに対してどのようなアクションが行われたかを確認します。

例 : 送信側メールサーバーで送信制限ポリシーがあり、送信されていない(送信できていないため、送信側メールサーバーの調査が必要)
例 : 受信側メールサーバーで迷惑メール判定がされている(受信は出来ているため、受信側メールサーバーの調査が必要)

トラブルシューティング方法

すべてのメールを確認

メールが届かないトラブルで最もよくあるのは、受信したメールが迷惑メールに分類されている、またはフィルタで仕分けされ受信トレイに入っていないケースです。

Gmail のフィルタでは受信トレイをスキップし、ラベルを付与して整理することができます。そのため意図せず受信メールにフィルタが適用され受信トレイに入らないケースがあります。こうした場合 Gmail ではすべてのメールまたは迷惑メールを確認します。

すべてのメールにはフィルタされた受信メールや送信メールなど、そのメールアドレスで送受信したメールすべてが入ります(迷惑メールに分類されたメールはすべてのメールに含まれません)。次に迷惑メールフォルダを確認します。
メールが届かない場合 Gmail ではまず、すべてのメール迷惑メールを確認するのが基本です。

エラーメールの調査

メールが正常に送信されなかった場合、エラーメールが配信されることがあります。エラーメールにはエラーコードが含まれている可能性が高いです。エラーコードがある場合、エラーコードから詳細内容を確認して対応します。

またエラーメールは英語で配信される場合もあります。Gmail には翻訳機能があるため、まず翻訳機能を使用して内容を確認します。原因がすぐに判明することがあります。

翻訳前

翻訳後

メールログの調査

メールログの確認は、トラブルシューティングの基本です。Gmail 管理者はメールログから「いつ」「誰が」「どこへ」「メールを送信・受信」「成功・失敗」を確認できます。

メールのトラブル報告を受けた場合、Gmail 管理者はまずメールログを確認します。調査できるメールログは、自社が管理するメールサーバーのものだけです。相手側メールサーバーのログを確認するには、相手方へ依頼する必要があります。

Gmail ではメールログ検索を使用してメールログを確認します。

詳細なログ調査手順は、公式ドキュメントを参照してください。

Google Workspace の Enterprise Plus エディションや一部 Education エディションでは、より詳細なログとしてGmail のメールGmail のログイベントを検索できます。対象エディションでは、トラブルシューティング時にこれらログの確認を推奨します。
それぞれのログではメールログ検索に比べ、ヘッダー情報やメッセージの内容を確認できます。

DNS レコード設定の確認

受信者までメールは届くが、受信者側で迷惑メールフォルダに入ってしまう、または証明書の警告が表示される。といった事象が発生した場合は、自社ドメインを管理している DNS サーバーの設定を確認します。

SPF レコードや DKIM レコードが設定されていない場合、こうした事象が発生することがあります。

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メール送信者のガイドラインの確認

特にメールの送信先が個人用 Gmail アカウント(@gmail.com など)である場合は、メール送信者のガイドラインを確認します。

Google が指定する要件を満たしていない場合、メールが拒否されたり、迷惑メールに分類されたりする可能性があります。

詳細は、以下の記事を参照してください。

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社内ネットワークやパソコンの設定確認

Gmail 以外の観点として、社内ネットワークやパソコンの設定でもメールトラブルは発生します。

例 : パソコンや社内ネットワークのファイアウォールで Gmail サービスやメール通信が制限されている
例 : メールソフトのプロファイル設定(接続設定)が誤っている

こうした場合メールの送受信はもちろん失敗しますが、社内ネットワークやパソコンの設定が原因でメール送受信が失敗するため、メールサーバーまでメールが到達しません。
送信したのにメールサーバーにログが残っていない、メールサーバーでは受信ログがあるのにメールソフトでは受信ができない。といった事象が発生した際は、社内ネットワークやパソコンの設定を確認してください。

その他トラブルシューティング

Gmail ではトラブルシューティングに関する公式ドキュメントが豊富に準備されています。関連ドキュメントを確認し、心当たりがある場合は詳細ページを参照してください。

Gmail を含む Google Workspace のトラブルシューティングに関する他の情報は、以下の記事を参照してください。

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荒井 雄基 (記事一覧)

クラウドソリューション部 クラウドサポート課

オンプレ環境のネットワーク・サーバーシステムを主戦場としていたが、クラウド領域にシフト。現在は Google Workspace を中心に企業の DX 推進をサポート。

Google Cloud Partner Top Engineer 2025
・Google Cloud 認定資格 7冠

最近ハマっていることは、息子とのポケモンカード