Google CloudとGoogle Workspaceの障害ステータス調査方法を解説

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G-gen の荒井です。当記事では Google Cloud および Google Workspace で障害が発生した際のサービスステータス確認方法や、関連コミュニティの活用方法について解説します。

はじめに

サービスステータス

Google Cloud と Google Workspace(以下、Google サービス)を利用中に障害が発生した場合、技術的なトラブルシューティングを行う前に、まずサービスステータス(サービスの提供状況)を確認することが推奨されます。平時から、サービスステータスの確認方法を把握しておくことが重要です。

また、公式の障害情報では確認できないものの、実際に障害が発生しているケースもあります。このような公式情報にない事象については、コミュニティで他ユーザーの障害情報を検索することが有効です。またバグの問題提起や機能リクエストを行うツールも用意されているため、こちらも合わせて説明します。

責任共有モデル

Google Cloud では OS やアプリケーションなど自社管理の仕組みは自社で障害特定を進める必要があります。当記事では、これらのレイヤの調査方法やトラブルシューティングの解説は割愛します。

Google Cloud で、クラウド提供事業者(Google)とユーザーの責任分界点を示すモデルである責任共有モデルは、以下のドキュメントに記載されています。なお Google Cloud では従来の責任共有モデルを一歩推し進め、運命の共有(shared fate)という考え方を採用しています。

使用するクラウド サービスの種類(IaaS、PaaS、SaaS、FaaS)を確認し、顧客の責任(Customer responsibility)として示されている領域は、自社で対応する必要があります。

1. Google サービスのステータス確認

概要

障害ステータス調査の基本は、まずはじめに公式情報を確認し、Google サービスのクラウド基盤で障害が発生しているか確認することです。

Google サービスには公式で Service Health ページが用意されています。

Google Cloud

Google Cloud に関するステータス情報は Service Health に集約されています。全ロケーション、全プロダクトの重要な障害が確認できます。

Service Health は RSS フィードに対応していますが、メールで新着情報を受信することはできません。

Service Health には広範囲かつ重要な障害が記載されますが、すべての障害情報を網羅しているわけではありません。また自身が運用しているプロダクトの障害情報だけを知りたいケースも多くあります。そういった場合、Personalized Service Health を使用して、障害情報をパーソナライズ化します。

Personalized Service Health の詳細については、以下の記事を確認してください。

blog.g-gen.co.jp

Google Workspace

Google Workspace に関するステータス情報は Google Workspace ステータス ダッシュボードに集約されています。コアサービスに関する障害情報はすべて確認ができます。

Google Workspace ステータス ダッシュボードは RSS フィードに対応していますが、メールで新着情報を受信することはできません。

コアサービスの詳細は以下のドキュメントから確認できます。Google App Script や API などはコアサービスではないため、Google Workspace ステータス ダッシュボードには情報がありません。

特定範囲の障害情報

Service HealthGoogle Workspace ステータス ダッシュボードでは、重大なインシデントを中心に情報が掲載されます。そのため特定のリソースや一部ユーザーにのみ影響がある障害は情報がない場合があります。

そうした場合、Google Cloud サポートポータル(システム ステータス)から特定範囲の障害情報を確認できる場合があります。

SNS 情報の確認

障害がサービス基盤全体の障害か、自身の環境のみで発生しているかどうか切り分けるには SNS を確認するのも有効な手段の一つです。Downdetector では、SNS の情報から障害情報を可視化しているため、他ユーザーの障害状況も確認できます。

なお Downdetector は公式情報をデータソースとしておらず、あくまで SNS をデータソースとしているため、情報が正確ではない可能性があります。参考情報として捉えてください。

2. サポート窓口へ問い合わせ

概要

「1. Google サービス基盤のステータス確認」で障害情報が確認できない場合、Google のサポート窓口に問い合わせを行うことで、詳細な情報確認を行うことができる場合があります。

なお Google Cloud や Google Workspace のパートナー企業は、優先的に障害情報を得られていない場合も多くあります。そのため、障害によるビジネス影響が大きい場合は、パートナー企業のサポート窓口より先に Google のサポート窓口に直接問い合わせることが、障害情報取得の最短経路となる場合もあります。

サポート窓口から素早く回答をもらうためのコツについては、以下の記事を確認してください。

blog.g-gen.co.jp

Google Cloud

Google Cloud の公式の技術サポート窓口はカスタマーケアと呼ばれます。パートナー企業と請求代行サービスを契約しているユーザーは、契約についてパートナー企業へ確認してください。

Google Workspace

Google Workspace では、Google Workspace スタンダード サポートがライセンスに付帯しています。Google Workspace 利用ユーザーは実質無償で Google サポート窓口へ問い合わせができます。

しかしながらその性質上 P1 レベルの問い合わせ以外は SLA がなく、回答までに時間を要する場合があります。

コミュニティの活用

概要

公式の障害情報では確認できないものの、実際に障害が発生している場合は、コミュニティプラットフォームの情報を確認することで、障害情報や付帯情報を取得できる場合があります。

またコミュニティでは、問題提起や機能リクエストの投稿ができます。障害情報を共有し、より良いサービスになるよう貢献できます。

Google Cloud

IssueTracker は、既知の問題や機能リクエストを投稿できる公式コミュニティです。機能リクエストは賛同(Vote)が多くなることで採用される可能性が高まります。

Google Workspace

Google Workspace では Google Workspace Admin Community というコミュニティが用意されており、Google エンジニアやユーザーが障害情報の共有や技術情報のディスカッションをしています。

また Google Workspace の機能リクエストは Feature Ideas というサイトで投稿できます。調査の結果、障害ではないが今後必要と思われる機能があった場合はこちらから投稿します。Google Cloud 同様、賛同(Upvotes)が多くなることで採用される可能性が高まります。

非公式コミュニティ

技術情報に関する非公式コミュニティとして、スタック・オーバーフロー(Stack Overflow)があります。スタック・オーバーフローでは、主に開発者が技術情報に関する投稿をしています。

Google App Script や API について Google サポート窓口に問い合わせた際、コアサービスではないためスタック・オーバーフローへの投稿を促される場合もあります。

G-gen Tech Blog での情報収集

障害ステータスの確認とは少し性質が異なりますが、G-gen Tech Blog ではトラブルシューティングに関する記事があります。下記の記事はトラブルシューティング関連記事の例です。障害時に確認することで障害対応に役立ちます。

blog.g-gen.co.jp

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記事はタグで分類されているため、トラブルシューティングタグで検索することで、必要な記事が見つかる場合があります。以下リンクは、トラブルシューティングタグが付いた記事の一覧です。

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荒井 雄基 (記事一覧)

クラウドソリューション部 クラウドサポート課

オンプレ環境のネットワーク・サーバーシステムを主戦場としていたが、クラウド領域にシフト。現在は Google Workspace を中心に企業の DX 推進をサポート。

Google Cloud Partner Top Engineer 2025
・Google Cloud 認定資格 7冠

最近ハマっていることは、息子とのポケモンカード