2024年1月のイチオシGoogle Cloudアップデート

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G-gen の杉村です。2024年1月のイチオシ Google Cloud アップデートをまとめてご紹介します。記載は全て、記事公開当時のものですのでご留意ください。

はじめに

月ごとの Google Cloud アップデートのうち、特にイチオシなものをまとめています。

ある程度の事前知識が必要な記載となっています。サービスごとの前提知識は、ぜひ以下の記事もご参照ください。

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またリンク先の公式ガイドは英語版にしないと最新情報が反映されていない場合がありますためご注意ください。

GmailへのDMARC設定方法

機能アップデートではないが、2024年2月1日以降、個人用の Gmail アカウントに対してメールを配信する送信者に対し、新しいメール送信者ガイドラインを適用することが発表された。その要件の1つである DMARC を Gmail へ設定する方法については、以下の記事で紹介されている。

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BigQuery に Document AI が統合

BigQuery integrates with Document AI to help build document analytics and generative AI use cases (2024/01/05)

BigQuery に Document AI が統合。生成 AI で PDF や画像を読み取り、テキストとして抽出する。そのテキストを BigQuery から SQL でクエリが可能になる。以下のような手順が実現できる。

  • Cloud Storage に請求書のスキャン画像を保存
  • これらのファイルに対し BigQuery オブジェクトテーブルを作成
  • 関数 ML.PROCESS_DOCUMENT を使い、推論を実行
  • 請求書情報を取得

Google Cloud、解約時のデータの外部転送料金を無料に

Cloud switching just got easier: Removing data transfer fees when moving off Google Cloud (2024/01/12)

Google Cloud の利用をやめることを決定した場合、データの外部転送が無料に(要申請)。万一 Google Cloud の利用をやめても、他クラウドにデータを無料で持ち出せる。Google Cloud を安心して利用開始できることをアピール。

textembedding-gecko でチューニングが Preview => GA

Tune text embeddings (2024/01/12)

生成 AI 基盤モデル PaLM 2 のエンべディング用モデルである textembedding-geckotextembedding-gecko-multilingual で、ファインチューニング機能が Preview => GA。

質問(クエリ)と回答(コーパス)のセットを用意することでエンべディング用モデルをチューニングし、ベクトル検索を最適化。なお、カスタムモデルを利用するにはエンドポイントのデプロイが必要(別料金)。

Vertex AI Workbench で User Managed Notebook と Managed Notebook が廃止

Vertex AI Workbench (2024/01/17)

Vertex AI Workbench で、User Managed Notebook と Managed Notebook が廃止になる。廃止期日は約1年後の2025/01/30。

フルマネージドの Jupyter notebook である Vertex AI Workbench は従来、以下の3タイプから選択できたが、残るのは Workbench Instance のみ。2つは廃止になるため、今後は移行が必要。

  • User Managed Notebook
  • Managed Notebook
  • Workbench Instance

Cloud Build のサービスアカウントの挙動が変更に

Cloud Build Service Account Change (2024/01/17)

2024/04/29以降に Cloud Build API を有効化したプロジェクトで、Cloud Build が Cloud Build service account ではなく Compute Engine service account を使うようになる。Compute Engine service account への編集者ロール付与を抑止する組織ポリシーを使っている環境下などで影響がある。詳細は以下の記事を参照。

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Database Migration Service で Oracle to AlloyDB (Preview)

Supported source and destination databases (2024/01/17)

Database Migration Service で、Oracle Database から AlloyDB for PostgreSQL への移行がサポートされた(Preview 公開)。Oracle 11g〜21c に対応。Google Cloud の高性能 RDB である AlloyDB へ自動かつオンラインでの移行を実現。

Google Meet のカメラ映像でスタジオ光源を AI で再現

Combine multiple video effects, improve lighting and audio in Google Meet (2024/01/17)

Google Meet のカメラ映像でスタジオのような光源(位置や明るさ)を再現したり、AI で通話音声の品質を改善できるように。Duet AI for Google Workspace ライセンス利用者のみ、利用可能。

プロキシ環境下での ChromeOS デバイスへのログイン要件が変更

Set up a hostname allowlist (2024/01/18)

インターネット通信がプロキシ等で制限された環境で ChromeOS デバイスを使う場合、指定のホスト名を許可する必要がある。2024/02/16に Google 側でシステム改修があり、これらのホスト名が許可されていないと、ChromeOS デバイスにログインできなくなる可能性がある。

特に www.gstatic.com と ssl.gstatic.com を確認するように通知されている。ホスト名リストはタイトルのリンクから。

AlloyDB for PostgreSQL の PostgreSQL 15 互換バージョンが GA

AlloyDB for PostgreSQL release notes - January 19, 2024 (2024/01/19)

AlloyDB for PostgreSQL の PostgreSQL 15 互換バージョンが GA(Preview 公開は2023年9月)。選択肢は PostgreSQL 14 互換 or 15 互換の2つに。クラスタ構築時に 14 か 15 を選択。既存クラスタを14から15にアップグレードする場合、新規クラスタ作成とデータ移送が必要。

Cloud Run で Cloud Storage をマウントできるように(Preview)

Cloud Storage volume mounts for services (2024/01/19)

Cloud Run (service/job) で、Cloud Storage をマウントできるように(Preview)。既存ツールである Cloud Storage FUSE を利用し、読み書きを Cloud Storage API に変換。ファイルシステムとの違いや、クセは FUSE のドキュメントを参照。

なお Cloud Storage FUSE は、Cloud Storage バケットをローカル ファイル システムとしてマウントしてアクセスできるようにする FUSE (file system in user space) アダプタ。Linux から、Cloud Storage バケットをファイルシステムのように扱えるツール。

Pub/SubのBigQueryサブスクリプションでテーブルスキーマが使用可能に

Use table schema (2024/01/22)

Pub/Sub の BigQuery サブスクリプションで「テーブルスキーマ」が使えるように。従来は Pub/Sub トピック側でトピックスキーマの定義が必要だった。「テーブルスキーマ」では Pub/Sub に JSON でメッセージを入れると、対応する列にデータが入るようになる。

BigQuery サブスクリプション

新サービス「Personalized Service Health」がリリース(GA)

Personalized Service Health overview (2024/01/24)

新サービス「Personalized Service Health」がリリース(今回、GA。Preview 公開は 2023/08/03)。Google Cloud 障害を「ダッシュボード閲覧」「API 経由取得」「Cloud Logging へ出力」できる。Cloud Logging にアラートポリシーを設定してメール、Slack、Webhook 等へ通知が可能。

以下の記事も参照のこと。

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杉村 勇馬 (記事一覧)

執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長

元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。