G-gen の杉村です。2024年5月のイチオシ Google Cloud アップデートをまとめてご紹介します。記載は全て、記事公開当時のものですのでご留意ください。
- はじめに
- AppSheet の Organization(組織)機能が使えるように
- BigQuery で Managed disaster recovery が公開(Preview)
- Cloud IAP で Workforce Identity を使った認証が可能に(Preview)
- Google Workspace で二段階認証を設定する際に電話番号が不要に
- Google スプレッドシートで「テーブル」が使えるように
- IAM の PAM(Privileged Access Manager)が Preview 公開
- Gemini API で Google 検索によるグラウンディングが GA
- 生成 AI API 関係で複数のアップデート(Google I/O に伴い)
- Managed private network でS3 -> Cloud Storageの転送コストを大幅減
- BigQuery の Search Index で INT64 型と TIMESTAMP 型がサポート
- Google Meet でハウリングを防止する Adaptive audio 機能
- BigQuery から AlloyDB への Federated query が可能に(Preview)
- Google Chat スペースにEメールを送れるように
- BigQuery ML の ML.GENERATE_TEXT() で Google 検索グラウンディング
- Gemini 1.5 Pro/Flash が Vertex AI 上で GA
- Connected Sheetsでデータ抽出制限が50,000行から500,000行に
- BigQuery のテーブルあたりパーティション数制限が 4,000 から 10,000 に
はじめに
月ごとの Google Cloud アップデートのうち、特にイチオシなものをまとめています。
ある程度の事前知識が必要な記載となっています。サービスごとの前提知識は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
またリンク先の公式ガイドは英語版にしないと最新情報が反映されていない場合がありますためご注意ください。
AppSheet の Organization(組織)機能が使えるように
Introducing AppSheet Organizations (2024-05-02)
Google Cloud Next '24 で発表された AppSheet の Organization(組織)機能が使えるように。
Google Workspace 利用中かつ AppSheet Enterprise ライセンスであれば、営業担当者に連絡することで有効化できる。
BigQuery で Managed disaster recovery が公開(Preview)
Managed disaster recovery (2024-05-06)
BigQuery で Managed disaster recovery が Preview 公開。
複数リージョン間でデータをレプリケーションしたり、スロット予約とクエリをフェイルオーバーできる。Enterprise Plus エディションのみで使用可能。Google Cloud Next '24 で発表されていた。
Cloud IAP で Workforce Identity を使った認証が可能に(Preview)
Configure IAP with Workforce Identity Federation (2024-05-06)
Cloud Identity-Aware Proxy(IAP)で Workforce Identity を使った認証が可能に(Preview)。
Okta や Entra ID(Azure AD)などの外部 IdP から、OIDC や SAML 2.0 などで IAP の認証ができるようになった。Cloud Run などの独自アプリへの認証が容易に実装できる。
Google Workspace で二段階認証を設定する際に電話番号が不要に
A simplified experience for Workspace users to add 2-Step Verification (2SV) methods (2024-05-06)
Google Workspace で二段階認証を設定する際に電話番号が不要に。
従来は Google Authenticator 等の OTP アプリの登録の前に、必ず電話番号の登録が必要だったが、今後は最初から OTP アプリの登録が可能になった。
Google スプレッドシートで「テーブル」が使えるように
New ways to quickly format and organize data with tables in Google Sheets (2024-05-08)
Google スプレッドシートで「テーブル」が使えるように。Excel のテーブル化機能にもあるような機能に加え、列の型を指定したり、GROUP BY が可能。
IAM の PAM(Privileged Access Manager)が Preview 公開
Privileged Access Manager overview (2024-05-14)
Google Cloud で、IAM の PAM(Privileged Access Manager)が Preview 公開。
承認者による承認を通ると、時限付きの IAM ロール付与ができる。つまり、時限付きの特権管理ができるようになる仕組み。Google Cloud Next '24 で発表されていた機能。以下の記事も参照。
Gemini API で Google 検索によるグラウンディングが GA
Write queries with Gemini assistance (2024-05-14)
Gemini API で Google 検索によるグラウンディングが GA。
Webサイトから情報を検索してきて根拠づけし、テキストを生成してくれる。2024年5月の発表時点でサポートされる言語は以下の通り。
- English (en)
- Spanish (es)
- Japanese (ja)
生成 AI API 関係で複数のアップデート(Google I/O に伴い)
Vertex AI release notes - May 14, 2024 (2024-05-14)
Google I/O の開催に伴い、Vertex AI 経由の Gemini 等基盤モデルにおいて、以下のアップデート
- Gemini 1.5 Flash (gemini-1.5-flash-preview-0514) が使えるように(Preview => 2024-05-24 に GA)
- Gemini バッチ推論(非同期ジョブ)(Preview)
- Gemmaのライトウェイト版「PaliGemma」
- 新しいエンべディング用のモデル「text-embedding-004」と「text-multilingual-embedding-002」がGA
Managed private network でS3 -> Cloud Storageの転送コストを大幅減
Transfer from Amazon S3 to Cloud Storage (2024-05-17)
Storage Transfer Service を使って Amazon S3 から Cloud Storage にデータを転送する際、Managed private network オプションが使えるように。
AWS 側の Egress コストが発生しなくなり、Google 側で $0.03 /GB が発生。大幅なコスト減が可能。転送コストは以下の通り(2024年5月現在)。
- AWS 側の Egress コスト
- 最初の10TB (バージニア北部) : 0.09USDGB
- 最初の10TB (東京) : 0.114USD/GB
- Managed private network オプション
- $0.03 /GB
BigQuery の Search Index で INT64 型と TIMESTAMP 型がサポート
CREATE SEARCH INDEX statement (2024-05-20)
BigQuery の Search Index で、INT64 型と TIMESTAMP 型がサポートされるように(Preview)。
これまでは STRING や JSON に対応していた。Search Index は、BigQuery テーブルのカラムにインデックスを張り、検索を高速化する機能。以下の記事も参照。
Google Meet でハウリングを防止する Adaptive audio 機能
Introducing adaptive audio in Google Meet: creating ad-hoc meeting spaces with multiple laptops (2024-05-22)
Google Meet のビデオ会議で、自動的に音声を調整し、ハウリングを防止する Adaptive audio 機能がリリース。
ハイブリッドワーク時代に、会議室が少ないために、近い距離で複数の PC から Meet 会議に入ることを考慮した機能。
Gemini for Google Workspace と AI Meetings and Messaging アドオンが必要。
BigQuery から AlloyDB への Federated query が可能に(Preview)
Introduction to federated queries (2024-05-22)
BigQuery から AlloyDB for PostgreSQL への Federated query が可能に(Preview)
分析用データベースである BigQuery から、業務用データベースである AlloyDB に直接クエリをかけられるようになる。分析のためにわざわざデータを移送・複製する必要がなくなる。
ただしリソース消費に注意(AlloyDB 側の CPU、メモリ、ストレージ IO)。
BigQuery からの Federated query 対応データベースは以下のとおり。
- Cloud SQL
- Spanner
- SAP Datasphere(Preview)
- AlloyDB for PostgreSQL(Preview)
Google Chat スペースにEメールを送れるように
Send emails to spaces in Google Chat (2024-05-22)
スペースにEメールアドレスを生成して、そこにメールを送信すると、スペースにメール内容が表示される。Slack にも類似機能あり。
BigQuery ML の ML.GENERATE_TEXT() で Google 検索グラウンディング
The ML.GENERATE_TEXT function (2024-05-23)
BigQuery ML で ML.GENERATE_TEXT() を使って Gemini を使う際に Google 検索によるグラウンディングが使えるように。
ground_with_google_search
引数を付与することで実行可能。
Gemini 1.5 Pro/Flash が Vertex AI 上で GA
Vertex Generative AI release notes - May 24, 2024 (2024-05-24)
Gemini 1.5 Pro / Flash が Vertex AI 上で Preview => GA。
- Gemini 1.5 Pro
- 100万トークンのロングコンテキスト
- Gemini 1.5 Flash
- 100万トークンのロングコンテキストは同様で、レスポンスがクイックで軽量
Connected Sheetsでデータ抽出制限が50,000行から500,000行に
Google Workspace Updates Weekly Recap - May 24, 2024 (2024-05-24)
Connected Sheets(GoogleスプレッドシートからBigQueryデータを取得・利用可能な機能)で「データの抽出」機能の制限が 50,000行から、10倍の 500,000行に。
Connected Sheets では、スプレッドシートを使って BigQuery のデータを取得。スプレッドシートの操作感で、データを可視化したり、集計できる。以下の記事も参照。
BigQuery のテーブルあたりパーティション数制限が 4,000 から 10,000 に
BigQuery release notes - May 29, 2024 (2024-05-29)
BigQuery のテーブルあたりの最大パーティション数制限が 4,000 から 10,000 に増量。
日次で切られるパーティションなら約11年→約27年に。以下は、時間ベースの場合の10,000パーティション計算例。
- 10,000 時間 = 約416日 = 約13ヶ月間
- 10,000日 = 約322ヶ月 = 約27年
- 10,000か月 = 約833年
以下の記事もご参照ください。
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長
元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。
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