「クラウドリフト」は自社で所有するシステムやデータなどをクラウドに移行することを指します。リフト&シフトという言葉も一般的になる中、この記事ではその前半であるクラウドリフトにフォーカスします。クラウドリフトの基礎知識やメリット、注目される背景や方法論を紹介しますので、クラウド化推進のヒントにしてください。
クラウドリフトとは?
クラウドリフトとは、自社所有 (オンプレミス) の情報システムを、最小限の構成変更でクラウド (IaaS) へ移行することを意味します。
クラウド移行の方法論が語られる際に「リフト&シフト (Lift & Shift)」という言葉が使われることがあります。これは、まずは最小限の構成変更でシステムをまずクラウドへ移行 (=リフト、雲の上へシステムをそのまま持ち上げるイメージ) してから、その後にクラウドに適したアーキテクチャにブラッシュアップしていく (=シフト、横滑りしてクラウドに最適化していくイメージ) という、段階を踏んでシステムをクラウド化していく方法論です。
クラウドリフトはリフト&シフトにおける前半の段階を指しており、企業 IT のクラウド化の第一歩です。
クラウドリフトが推進される理由
経済産業省の「DXレポート」では、DX化が進まない日本の状況が2025年ごろには経済的損失といった深刻な形で顕在化するとの予想があり、これは2025年の崖問題と呼ばれています。
また近年では、歴史あるシステムの多くがサポート終了を予定しており、この点からも、多くの企業がクラウド化に乗り出しています。
- 参考:DXレポート|経済産業省
また総務省がまとめた「令和2年版 情報通信白書」によると、企業がクラウドを利用している理由として最も多いのは「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから(45.9%)」です。
次いで、「場所、機器を選ばずに利用できるから(43.3%)」、「安定運用、可用性が高くなるから(36.8%)」といった理由が並んでいます。
※参考:令和2年版 情報通信白書|総務省
クラウドリフトの手順
クラウドリフトでは、オンプレミスの情報システム資産を IaaS へ移行します。移行の手順などは、以下の記事でも紹介していますのでご参照ください。
クラウドリフトの注意点
1. 一時的な対応にとどまる
クラウドリフトでは、自社で所有していたシステムなどを、構成や内容の変更なしにクラウド上に移行させます。このため、これまで利用していたシステムやアプリケーションなどのサポートが終了しまうリスクは残ります。
クラウドリフトはあくまで、業務をクラウド化するための一時的な対応であると考えるべきでしょう。
2. 保守や運用の業務は引き続き存在
クラウドリフト前にはどのような保守・運用業務が必要になるのか可視化することが必要不可欠です。
クラウドリフトでは IaaS を利用します。物理機器の保守・運用は無くなる一方で、引き続き仮想サーバやミドルウェア、アプリケーションの保守・運用はユーザ側で行う必要があります。
3. 移行ができないケースもある
業種やシステム、製品によっては、クラウド移行が適さないケースも存在します。また、クラウド移行自体はできても、移行に大きなコストがかかったり、移行後の運用が非常に難しくなったりするケースも懸念点です。無理にクラウドに移行しないことや場合によってはシステム自体を廃棄する、といった選択肢も柔軟に検討しましょう。
特にソフトウェアのライセンスは、クラウド (IaaS) 上での利用に制限がある場合があります。代表として Microsoft や Oracle のライセンスがあります。必ずメーカや代理店に確認しましょう。
まとめ
DX化における最初のステップとして、クラウドリフトを効果的に活用しましょう。クラウド移行の際は、G-genが運用代行・伴走をお手伝いします。新規・既存どちらのGoogle Cloud環境についても、お客様の環境に合ったハイブリッドクラウド・マルチクラウドを実現しました。豊富な実績にもとづく技術サポートを安価な利用環境とセットで提供いたします。
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株式会社G-genは、サーバーワークスグループとして「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」をビジョンに掲げ、2021年よりクラウドの導入から最適化までを支援しているGoogle Cloud専業のクラウドインテグレーターです。