Cloud Storageの課金仕様に関する3つの変更(2024年9月から)

記事タイトルとURLをコピーする

G-gen の杉村です。2024年9月から2025年2月にかけて、Cloud Storage に関係する課金額が変動する可能性があるため、その詳細と対応策について紹介します。

概要

2024年9月から、以下の3点について、Cloud Storage 関連の課金仕様の変更が予告されています。

  1. Cloud Storage の soft delete(論理削除)機能の無料期間終了(2024年9月1日から)
  2. Compute Engine から Cloud Storage へのリージョン間データ転送の課金開始(2024年10月1日から)
  3. BigQuery から Cloud Storage への一部リクエストの課金開始(2025年2月1日から)

Cloud Storage の soft delete 機能の無料期間終了

解説

2024年3月に導入された Cloud Storage の soft delete(論理削除)機能は、削除されたデータを一定期間内に復旧できる便利な機能です。詳細については以下の記事の「soft delete ポリシー」の項をご参照ください。

2024年8月31日まではプロモーション期間として、デフォルト設定である7日間は、論理削除状態のオブジェクトに対する課金は行われていませんでした。しかし、2024年9月1日以降、課金が開始されます。

詳しくは、Google Cloud 公式ドキュメントをご覧ください。

Cloud Storage に対して、頻繁にオブジェクトのアップロードと削除を行っている場合、この課金開始の影響が大きくなる場合があります。オブジェクトを削除しても、実際には soft delete 期間の間、オブジェクトを削除していない状態と同様に課金されるからです。

対策

soft delete 期間をゼロに設定することで soft delete 機能を無効化できます。有効化する場合は、デフォルトの7日間より短くすることはできないのでご注意ください。

Compute Engine から Cloud Storage へのリージョン間データ転送の課金開始

解説

これまで、Compute Engine から Cloud Storage へのリージョン間データ転送に対しては、料金表には記載があったものの、Google Cloud 側が未実装だったために課金が行われていませんでした。

この課金については、2024年10月1日から開始されます。Google Cloud からは2024年5月20日付および2024年8月2日付で、管理者宛に一斉通知が送付されています。詳細は、公式通知をご確認ください。

なお、2024年5月20日付の通知では、課金開始を8月1日としていましたが、猶予期間が延長され、10月1日からの開始になった経緯があります。

あるリージョンの Compute Engine VM 等から、別のリージョンに存在する Cloud Storage バケットにオブジェクトをアップロードする場合に、この課金が発生します。課金は転送したデータサイズ(GiB 単位)に応じて課金されます。課金単価は、以下の料金表の「VM-VM data transfer pricing within Google Cloud」の項にある「Inter-region data transfer」の表のとおりです。料金明細には Inter-region Data Transfer として表示されます。

対策

Compute Engine と Cloud Storage バケットを同一リージョンに配置することで、リージョン間データ転送の課金を回避できます。同一リージョンに存在する Compute Engine と Cloud Storage バケットの間のデータ転送は、無料です。

特別な要件がない場合には、リージョンを一致させることを検討してください。

BigQuery から Cloud Storage への一部リクエストの課金開始

解説

BigQuery から Cloud Storage へのリクエストは、以下のようなときに発生します。

  • BigQuery に Cloud Storage 上のデータをロードするとき
  • BigQuery の外部テーブル定義により Cloud Storage 上のデータをクエリするとき

今回のアナウンスでは、BigQuery から Cloud Storage へのリクエストにおいて、以下のようなときの課金が開始されることが発表されました。

  1. BigQuery データセットとリクエスト先の Cloud Storage バケットのロケーションが異なるとき
  2. 取り込む Cloud Storage オブジェクトのストレージクラスが Nearline、Coldline、Archive のとき

上記の課金は、以前から料金表には記載されていましたが、Google Cloud 側が未実装だったために課金が行われていませんでした。これらの課金は2025年2月1日から開始されます。なお、発表当初は課金開始日は2024年11月1日とされていましたが、後に修正されました。

対応策

「1.」については、BigQuery データセットと Cloud Storage バケットを同一ロケーション(リージョン)に配置することで、ロケーション(リージョン)間転送料金を回避できます。

「2.」については、頻繁にアクセスされるデータを Standard クラスに移行することを検討してください。また、Cloud Storage の Autoclass 機能を利用することが有効です。Autoclass 機能を用いると、Standard クラス以外に本来発生する取り出し料金が無料となるほか、オブジェクトのアクセス頻度にあわせて自動的にストレージクラスが移行されます。

Autoclass 機能についての詳細は、以下の記事の「Autoclass」の項をご参照ください。

杉村 勇馬 (記事一覧)

執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長

元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。