Gemini Enterpriseアプリの新機能を紹介(Google Cloud Next '26速報)

記事タイトルとURLをコピーする

G-gen の杉村です。当記事では、Google Cloud Next '26 で発表された Gemini Enterprise アプリの新機能について、公式の投稿記事「Gemini Enterprise for the agentic task force: introducing long-running agents, agentic collaboration spaces, advanced governance, and more」の内容をもとに紹介します。

はじめに

以下の Google 公式投稿を参考に、Google Cloud Next '26 で発表された Gemini Enterprise アプリ の新機能を紹介します。なお、当記事で紹介する機能の提供ステータス(GA / Preview / Private Preview / Coming Soon)は2026年4月23日現在の情報です。

当記事では、上記の記事から画像を引用しており、引用した画像には「画像は公式投稿より引用」と付記してあります。

他の Google Cloud Next '26 の関連記事は、Google Cloud Next '26 カテゴリの記事一覧から参照してください。

blog.g-gen.co.jp

名称変更とリブランディング

これまで「Gemini Enterprise」と呼ばれていた Google Cloud の生成 AI ウェブサービスは、Gemini Enterprise アプリという名称に変更されました。

これは、Google Cloud の AI 開発プラットフォームである Vertex AI が Gemini Enterprise Agent Platform と改称されたことに伴います。Gemini Enterprise Agent Platform という大きなブランドのもとに、Gemini Enterprise アプリや、新しく発表された AI エージェント向けサービス、そして従来からの Vertex AI サービス群が格納された形です。

Gemini Enterprise Agent Platform(画像は公式投稿より引用)

作業の自動化

強化されたエージェントデザイナー

従来より Gemini Enterprise アプリには、ノーコードエージェントを構築可能なエージェントデザイナー(Agent Designer)が付属していました。このエージェントデザイナーは、自然言語と UI 上の簡単な操作で、タスクを順次実行するノーコードエージェントを簡単に構築できるツールですが、従来は「親」と「子」の2階層のエージェントしか作れませんでした。

従来のエージェントデザイナー

しかし今後、エージェントデザイナーは強化され、より複雑なノード構成を取ることができるようになります。Human in the Loop(HITL)のチェックポイントも作成できるようになり、これまでよりも充実したノーコードエージェントを構築可能になります。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

新しいエージェントデザイナー(画像は公式投稿より引用)

Skills が使用可能に

Gemini Enterprise アプリで Skills が使用可能になります。Skills は、LLM が自身の知識だけで完結せず、外部ツールや API 等と連携して作業できるように部品化された「実行可能な拡張機能」または「テキストのプロンプト」のことです。Google に特有な言葉ではなく、近年の AI エージェントツールにおいてよく用いられる用語です。

公式の投稿に掲載されたスクリーンショットからは、追加した Skills はオン・オフを切り替えることができることが示唆されています。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

Skills(画像は公式投稿より引用)

長時間稼働エージェント

長時間稼働エージェント(Long-running agents)は、大規模で複数のステップからなるワークフローを実行できる機能です。数時間から数日間、バックエンドで自律的に動作します。

従来の Gemini Enterprise アプリのエージェントは、ユーザーからのテキストプロンプトをきっかけに短時間動作し、同期的に回答を返すものでした。長時間稼働エージェントは、それとは一線を画すものです。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

エージェント管理用受信トレイ

エージェント管理用受信トレイ(Inbox for agent management)は、エージェントの動作の経過や結果を受け取るためのメッセージボックスです。

メッセージは「入力が必要」「エラー」「完了」などに分類されます。長時間稼働するエージェントとの関連が深いものと想定されます。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

エージェント管理用受信トレイ(画像は公式投稿より引用)

A2UI のサポート

A2UI(Agent-to-UI)プロトコルは、エージェントが UI を動的に生成してユーザーとインタラクティブにやりとりをするための標準を定めた、オープンプロトコルです。Google が開発し、Apache 2.0 ライセンスのもとに公開しています。

A2UI が Gemini Enterprise アプリでサポートされるようになり、カスタムエージェントはリッチな UI を生成してユーザーとやりとりをすることができます。

当機能は2026年4月23日現在、Preview 公開されています。

Data Insights エージェントによる統合分析

Data Insights エージェントは、Gemini Enterprise アプリから利用可能な組み込みエージェントです。既にリリースされている Data Insights エージェントでは、BigQuery のデータを自然言語で問い合わせ可能でした。

Data Insights エージェントの分析対象に、ドキュメント、メール、チャットなどの非構造化データも加えることができるようになると発表されました。

新バージョンは2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

Deep Research エージェントの強化

Deep Research エージェントは、既に利用可能な Gemini Enterprise アプリの組み込みエージェントです。Web サイトや社内のデータソースに対して多段的なリサーチを行い、重厚なレポートを生成します。

発表内容は、Deep Research エージェントが強化されるというものでした。強化の内容は詳細に明かされていませんが、「バックグラウンドで何時間も動作」という説明があることから、より長時間の実行が可能になる等のものであることが示唆されています。

新バージョンは2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

チームの生産性

プロジェクト

Gemini Enterprise アプリにプロジェクト機能が追加されます。Google Workspace、Microsoft OneDrive、Teams チャットなど、さまざまなソースのコンテキストを統合して、特定のプロジェクトに特化したエキスパートエージェントを作成できる機能として説明されています。

1日目のキーノートの発表とあわせて解釈すると、これはデータソースを限定することでハルシネーションを低減するような仕組みであると想定されます。NotebookLM のように、特定のデータソースに基づいたタスクを Gemini Enterprise アプリに実行させられるものである可能性があります。

公式投稿のスクリーンショットからは、プロジェクトは複数の同僚と共有できるものであることが示唆されています。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

Gemini Enterprise アプリのプロジェクト(画像は公式投稿より引用)

Canvas の実装

Gemini Enterprise アプリに Canvas が実装されます。Canvas は、リアルタイムの編集機能を備えたエディタであり、Google Workspace 等に付属の Gemini アプリには付属しています。

Gemini Enterprise アプリでは、Canvas がリアルタイムの共同編集機能を備えており、チームでドキュメントやスライドを共同編集できます。AI にスライドの雛形を生成させ、チームでそれを共同編集するという使い方が想定されます。この共同編集は、Gemini アプリにはない機能です。

さらに、Microsoft 365 との相互運用性も意識されており、Canvas で作成したドキュメントやスライドを一般的な Microsoft Office 形式にエクスポートできるようになります。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

Canvas(画像は公式投稿より引用)

エンタープライズ・エコシステム

エージェントギャラリーと Marketplace の統合

エージェントギャラリーは、Gemini Enterprise アプリ内で、ユーザーが使用可能なエージェントを一覧表示する画面です。備え付けの「Google が開発したエージェント」、管理者によって配布される「組織のエージェント」、自分でノーコードで作成した「マイエージェント」などがリストアップされます。

今後、エージェントギャラリーに Agent Marketplace が統合されます。Agent Marketplace ではサードパーティが販売する AI エージェントを購入し、Gemini Enterprise アプリにインストールできます。管理者の承認を経て購入されたエージェントのみが使用可能になります。

当機能は2026年4月23日現在、Preview 公開されています。

Bring Your Own MCP

Bring Your Own Model Context Protocol(BYO-MCP)の実装が発表されました。

この機能により、ノーコードエージェントが自社サーバーでホストされているツールを検出して実行できるようになり、自動化の可能性が広がるとされています。詳細の記述がないものの、Gemini Enterprise アプリに MCP を登録しておき、ノーコードエージェントから呼び出せるようになるものと考えられます。

当機能は2026年4月23日現在、まだ使用可能になっていません。

ガバナンス

概要

Gemini Enterprise Agent Platform 製品群に含まれる Agent Identity、Agent Registry、Agent Gateway といった機能により、組織内で複数の AI エージェントのガバナンスを、ガバナンスを発揮しながら相互に協働させられる世界観が示されました。

Google Cloud Next '26 の2日目に行われた Developer Keynote(開発者向け基調講演)でも、これらについては解説されました。以下の記事も参照してください。

blog.g-gen.co.jp

Agent Identity

Agent Identity は、AI エージェントに割り振られる、暗号化された固有の ID です。人間が使う Google アカウントや一般のアプリケーションが用いるサービスアカウントとも区別されます。コンテキストアウェアなアクセスと mTLS が前提となっており、意図しない実行環境以外では認証情報が使用できないようになっています。

Agent Identity は Gemini Enterprise Agent Platform Runtime(旧称 Vertex AI Agent Engine)および Gemini Enterprise で使用可能です。

Agent Identity は、既に一般公開(GA)されています。

Agent Registry

Agent Registry は、組織内で AI エージェントや MCP サーバー、tools 等が発見されやすいよう、集約管理したり、ユーザーにキュレート(推奨して提示)したりするためのツールです。こちらも、従来からその機能の一部が Gemini Enterprise で使用可能になりました。

Gemini Enterprise アプリから Agent Registry に登録された A2A エージェントを呼び出せるほか、Gemini Enterprise アプリのエージェントデザイナーで開発したノーコードエージェントも Agent Registry に登録されます。また、独自開発したハイコードエージェント(フルコードエージェント)から、Gemini Enterprise アプリのノーコードエージェントを A2A プロトコルで呼び出すなど、ハイコードエージェントとノーコードエージェントの相互連携も可能になります。

2026年4月23日現在、Agent Registry は Preview 公開されています。

Agent Gateway

Agent Gateway は、ネットワークポリシー、データアクセス、セキュリティガードレールを一元管理できる、管理者向けソリューションです。プロンプトインジェクションなどのリスクからの保護を提供する、とされています。またコンテキストアウェアアクセスの能力を持っており、会社固有のルールを適用することで、承認されていないエンドポイントにエージェントがデータを送信してしまうことを防ぐともされています。

これらの機能は、Model ArmorIdentity and Access Management(IAM)、Identity-Aware Proxy(IAP)などの既存サービスとの統合により実現されます。Access control policies によりエージェントがこれらのサービスを適切に使用するように交通整理するのが、Agent Gateway です。

2026年4月23日現在、Agent Gateway は Private Preview 公開されています。使用には Google への申請と、審査への合格が必要です。

杉村 勇馬 (記事一覧)

執行役員 CTO

元警察官という経歴を持つ IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 認定資格および Google Cloud 認定資格はすべて取得。X(旧 Twitter)では Google Cloud や Google Workspace のアップデート情報をつぶやいています。