G-gen の杉村です。2024年6月のイチオシ Google Cloud アップデートをまとめてご紹介します。記載は全て、記事公開当時のものですのでご留意ください。
- はじめに
- BigQuery の Slot Recommender が Preview => GA
- Cloud SQLでメンテナンスの最大5週間前に通知を受け取れるように
- Gemini in Colab Enterprise が Preview 公開
- Vertex AI Studio が Google アカウントなしで試用できるように
- Google Cloud で Oracle がサポート
- Compute Engine で C4 マシンシリーズが登場(Preview)
- Vertex AI AutoML for Text が廃止、Gemini prompts and tuning に統合
- Cloud Source Repositories の新規利用が停止に
- Gemini 公式 note がスタート
- Gemini 1.5 Pro の入力トークン数が100万→200万に
- Cloud Composer 3 が登場(Public Preview)
- Claude 3.5 Sonnet が Model Garden から使用可能に
- Cloud SQL のインプレイス・アップグレードで PostgreSQL 16 が利用可能に
- BigQuery JupyterLab plugin が登場(Preview)
- Gemini 1.5 Pro で出力を JSON フォーマットに固定できるように
- Google スプレッドシートの計算速度が2倍に
はじめに
月ごとの Google Cloud アップデートのうち、特にイチオシなものをまとめています。
ある程度の事前知識が必要な記載となっています。サービスごとの前提知識は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
またリンク先の公式ガイドは英語版にしないと最新情報が反映されていない場合がありますためご注意ください。
BigQuery の Slot Recommender が Preview => GA
View edition slot recommendations (2024-06-05)
BigQuery の Slot Recommender が Preview => GA。
過去30日間のスロット使用料に基づき、適切な Baseline/Max 設定やコミットメント購入のレコメンデーションを生成。また、月額費用の試算も提供してくれる。
Cloud SQLでメンテナンスの最大5週間前に通知を受け取れるように
About maintenance on Cloud SQL instances (2024-06-10)
Cloud SQLでメンテナンスの最大5週間前に通知を受け取れるように。
メンテナンスとは、強制的なパッチ適用などを指し、Enterprise edition の場合、30秒程度のダウンタイムが発生する。従来は90日間の「メンテナンス拒否期間」や同一リージョン内インスタンスの「更新順序」は指定できた。今後は通知後、何週間で適用するかを指定可能になった。
Gemini in Colab Enterprise が Preview 公開
Write code in a Colab Enterprise notebook with Gemini assistance (2024-06-10)
Gemini in Colab Enterprise が Preview 公開。
Colab Enterprise とは、フルマネージドの Jupyter notebook。
今回のアップデートで、コーディング中に生成 AI 基盤モデル「Gemini」がコード生成・補完してくれる。Preview 期間中は無料。
Vertex AI Studio が Google アカウントなしで試用できるように
Vertex AI Studio console experiences (2024-06-10)
Vertex AI Studio(Google Cloud の生成 AI モデルを試用できる Web コンソール)が Google アカウントなしでも利用できるように。
機能制限はあるが、無料で Gemini 1.5 Pro などを試用できる。
Google Cloud で Oracle がサポート
Accelerating cloud transformation with Google Cloud and Oracle (2024-06-12)
Google Cloud で Oracle がサポートされるようになった
従来は Oracle は Google Cloud を Certify しておらず、原則的に Oracle Database を使うことが不可能だった。今後は以下のようになる。
- Oracle Database を Compute Engine VM で稼働可能に
- Google Cloud Marketplace から Oracle Autonomous Database、Oracle Exadata Database を調達可能に
- Private Service Access で接続のイメージ
- Google Cloud と OCI のネットワーク接続が Cross-Cloud Interconnect で実現
以下は、Oracle 側の発表。
- 記事 : Oracle and Google Cloud Announce a Groundbreaking Multicloud Partnership
- 資料 : Licensing Oracle Software in the Cloud Computing Environment
- Authorized Cloud Environments として記載
詳細は Google Cloud 営業 / Oracle 代理店等と密に連携を。
Compute Engine で C4 マシンシリーズが登場(Preview)
Compute Engine で C4 マシンシリーズが登場(Preview)。
第5世代 Intel Xeon Scalable processors(Emerald Rapids)を搭載。ドキュメント上の分類は Compute-optimized ではなく General-purpose。
Vertex AI AutoML for Text が廃止、Gemini prompts and tuning に統合
Vertex AI release notes - June 18, 2024 (2024-06-18)
2024-09-15以降、Vertex AI AutoML for Text の classification、entity extraction、sentiment analysis のモデルトレーニングが不可に。機能は Vertex AI Gemini prompts and tuning に移行される。
既存モデルも2025-06-15に使用不可に。
Cloud Source Repositories の新規利用が停止に
Cloud Source Repositories release notes - June 17, 2024 (2024-06-17)
2024-06-17 をもって Cloud Source Repositories(Google CloudのマネージドのGitレポジトリ)の新規利用が停止。
これまでにAPIを有効化したことがない組織では新規に有効化ができなくなる。ただし既存ユーザーや、組織内で一度でもAPIを有効化したことがあれば、影響はない。
Gemini 公式 note がスタート
Google の AI 「Gemini」、公式 note はじめます (2024-06-17)
Google が、生成 AI 基盤モデル「Gemini」の公式 note を開始。
note は日本のサービスで、テキストを中心とした記事公開のためのメディアプラットフォーム。
Gemini 1.5 Pro の入力トークン数が100万→200万に
Google models (2024-06-17)
Gemini 1.5 Pro の最大入力トークンが100万→200万になった。
これにより、より多くのインプットができるようになった。
Cloud Composer 3 が登場(Public Preview)
Comparison of Cloud Composer versions (2024-06-20)
Cloud Composer 3 が登場(Public Preview)。
Cloud Composerとは、Google Cloudが提供するマネージドのApache Airflow。「3」では従来、プロジェクト内に見えたGKEクラスタが見えなくなりフルマネージドに。性能向上、シンプルなNW構成など、より利便性が増した。
Claude 3.5 Sonnet が Model Garden から使用可能に
Vertex AI release notes - June 20, 2024 (2024-06-20)
Claude 3.5 Sonnet が Model Garden から使用可能に。Vertex AI 経由で Claude を利用可能。
Claude 3.5 Sonnet は、Anthoropic 社が2024年6月21日に発表した最新の生成 AI 基盤モデル。Haiku < Sonnet < Opus ... 左は高速軽量、右は高精度だが高コスト。
なお、Amazon Bedrock でも同日に利用可能になっている。
Cloud SQL のインプレイス・アップグレードで PostgreSQL 16 が利用可能に
Upgrade the database major version in-place (2024-06-21)
Cloud SQL for PostgreSQL のインプレイス・アップグレードで PostgreSQL 16 が利用可能に。
インプレイス・アップグレードでは IP アドレスや他の設定を変更することなく、メジャーバージョンのアップグレードができる。
BigQuery JupyterLab plugin が登場(Preview)
Use the BigQuery JupyterLab plugin (2024-06-25)
BigQuery JupyterLab plugin が登場(Preview)。
このオープンソースのプラグインでは、以下が実現できる。
- JupyterLab から BigQuery のデータセット/テーブルを閲覧
- BigQuery DataFrames により pandas / scikit-learn ライクに BQ のデータを操作
- Cloud Composer へのデプロイ
Gemini 1.5 Pro で出力を JSON フォーマットに固定できるように
Control generated output (2024-06-25)
Gemini 1.5 Pro で出力を JSON フォーマットに固定できるようになった。
従来は、プロンプトの中でフォーマットを指示していたが、確実にフォーマットを指定できるようになった。生成 AI アプリの開発に大きなアドバンテージ。
以下は、公式ドキュメントから引用した Python ソースコード。リクエスト時に MIME タイプを指定している。
response_schema = { "type": "array", "items": { "type": "object", "properties": { "recipe_name": { "type": "string", }, }, "required": ["recipe_name"], }, } model = GenerativeModel("gemini-1.5-pro-001") response = model.generate_content( "List a few popular cookie recipes", generation_config=GenerationConfig( response_mime_type="application/json", response_schema=response_schema ), )
Google スプレッドシートの計算速度が2倍に
Doubling calculation speed and other new innovations in Google Sheets (2024-06-26)
Google スプレッドシートの計算速度が2倍になった(公称)。
関数計算、ピボットテーブル、条件付き書式などの処理が高速になる。Google Chrome と Microsoft Edge ブラウザが対象。
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長
元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。
Follow @y_sugi_it