G-genの片岩です。 当記事ではオンプレミスの仮想マシンやディスクを Google Cloud のイメージとしてインポート する方法について解説します。
自動インポートとは
自動インポートとは、仮想マシンのイメージファイル (VMDK / VHD / OVF) を Google Cloud にインポートすることにより Google Cloud にイメージや VM を作成する機能 です。
オンプレミスのサーバーやディスクをそのまま Google Cloud へ移行したい時に利用します。
- 参考 : 仮想ディスクのインポート
- 参考 : 仮想アプライアンスのインポート
料金
自動インポート機能自体の利用は無料ですが、付随して利用される以下について料金が発生します。
名称 | 説明 |
---|---|
Cloud Storage へのデータ保存 | インポートするイメージファイルを Cloud Storage にアップロードするため、 Cloud Storage の保存料金が発生します |
イメージの保存 | インポートしたイメージの保存には容量に応じて料金が発生します |
前提条件
移行元ファイル形式
移行元のファイル形式 は以下のとおりです。
タイプ | ファイル形式 |
---|---|
仮想ディスク | VMDK ファイルまたは VHD ファイル |
仮想アプライアンス | OVF ファイル (仮想ディスクは VMDK または VHD) |
VMDK / VHD ファイルを仮想ディスクとしてインポートするか、あるいは OVF ファイルの持つマシン全体の情報をマシン (=仮想アプライアンス) としてインポートすることができます。
移行対象 OS
代表的な サポート対象の OS は以下です。
以下は主要な OS のみをピックアップしたものですので、完全な一覧は ドキュメント をご参照ください。
- Windows Server 2008 R2 以上
- Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 6, 7, 8
- CentOS 7
制限事項
代表的な 制限事項 をピックアップしました。詳細は 公式ドキュメント をご確認ください。
- 論理ボリュームマネージャ (LVM) は非サポート
- Linux の仮想ディスクは、ブートローダーとして grub を使用する必要がある
- ファイルのインポートに 24 時間以上掛かる場合はインポートに失敗する
作業プロセス
1. 権限付与
公式ドキュメント の記載に沿って Google Workspace / Cloud Identity 等のユーザーアカウントや Google Cloud サービスアカウントに所定の IAM 権限を付与 します。
2. 事前チェックツール
移行元の仮想サーバーで 事前チェックツール を実行します。
このツールをサーバー上で動かすことで、仮想サーバーをイメージ化して Google Cloud に インポートできる状態にあるか を事前に確認することができます。
3. Cloud Storage へのアップロード
仮想マシンを停止して VMDK / VHD / OVF ファイルを準備します。
これらのファイルを Cloud Storageにアップロード します。
4. イメージ作成 (インポート)
VMDK / VHD / OVF ファイルをもとに イメージ または VM インスタンス を作成します。
OVF ファイルの有無 により、以下のように実施方法と出力内容が異なります。
OVF ファイル | 実施方法 | インポート後の状態 |
---|---|---|
OVF ファイルなし | gcloud / GUI から実施可能 | イメージ |
OVF ファイルあり | gcloud (Google Cloud CLI) のみ | イメージ または VM |
それぞれの場合をご説明します。
OVF ファイルなし
VMDK / VHD ファイルだけインポートする場合は、 GUI または gcloud コマンド から実施できます。結果として Compute Engine の イメージ が作成されます。
参考まで、手元の環境で試したところ 4.25 GB の VMDK ファイルをインポートしたところ約 45 分間かりました。データサイズが大きいほど時間がかかります。
OVF ファイルあり
VMDK / VHD ファイルだけでなく OVF ファイルもインポートする場合は、 GUI から実施することはできません。 gcloud コマンド から実施します。
以下は OVF ファイルをインポートして Compute Engine イメージを作成するコマンドの一例です ( 参考 )。
gcloud compute machine-images import my-machine-image \ --source-uri=gs://my-bucket/Ubuntu.ovf
5. イメージから VM インスタンスを作成
イメージを作成した場合は、以下のように作成したイメージをブートディスクに設定して VM インスタンスを作成 します。
ユースケース
自動インポート手法は シンプルでわかりやすい ことが特徴です。以下のような場合に当手法が適しています。
- 移行対象のサーバーが 1 台から数台のみ等、移行規模が小さい
- サーバーのダウンタイムが十分確保できる
当手法は 1 台ずつ手作業でインポートする必要があるため大規模な環境の移行には向いていません。また、リアルタイム同期も行わないため、ダウンタイムが必要となります。
移行台数が多い場合やダウンタイムを小さくしたい場合は、以下のブログで解説している Migrate for Compute Engine 等、別の方法を利用することをお勧めします。
片岩 裕貴 (記事一覧)
クラウドソリューション部 クラウドディベロッパー課
2022年5月にG-genにジョインした和歌山県在住のエンジニア。興味分野はAI/ML。2024年にGoogle Cloud認定資格全冠達成。最近は子供と鈴鹿サーキットや名古屋のレゴランドに行ってきました。